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株式会社日立総合計画研究所

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内部統制

所属部署:研究企画室
氏名:床波 忠明

内部統制とは

内部統制は、「企業がその業務を適正かつ効率的に遂行するために、社内に構築され、運用される体制及びプロセス」(出典:経済産業省)と定義されています。2006年5月1日に施行された新「会社法」の中では、内部統制システムの構築を義務付ける対象が、委員会等設置会社からそれ以外の大企業へと大幅に拡大されました。内部統制という言葉は、従来、主として第三者の監査人によって財務諸表を監査する前提の考え方として、使われることが多かったのですが、最近の度重なる企業会計開示に関わる不祥事の発生を契機として、内部統制とは企業活動全般にわたる行為として捉えられるようになってきました。

SOX法の制定

世界的に内部統制という言葉が広く知られるようになったのは米国のサーベンス・オクスリー法(Surbanes-Oxley Act、略称:SOX法)の制定が契機でした。2001年におこったエンロン、ワールドコムなど大手企業による巨額の粉飾決算事件によって公開企業の財務報告に対する信頼性が大きく揺いだため、財務報告の信頼性と正確性を改善し投資家を保護することを目的に同法が制定されました。条項の中でもひときわ注目を浴びたのが内部統制評価に関する規制と虚偽報告への罰則強化でした。膨大な作業を強いる内部統制評価に係る報告、宣誓書への署名義務付けと、外部監査人によるその自己評価に対する監査を求めています。罰則は義務に違反した場合、最長10年の禁固刑または100万ドル以下の罰金、あるいは両方が課せられるという厳しい内容です。

COSOのフレームワーク

同法では内部統制評価のフレームワークを記載することになっていますが、1992年に米国トレッドウェイ委員会支援組織委員会(The Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission)から発表された「内部統制の統合的枠組み」(組織の名前からCOSOと呼ばれるフレームワーク)が広く採用されています。米国においては1980年代から既に内部統制の新しい概念の確立に向けた検討が進められ、基本的な理論に加えて、内部統制評価に関する具体的なツールの開発と枠組みがCOSOとして結実し、今では事実上グローバルスタンダードとなっています。COSOでは、内部統制の目的を、財務報告の信頼性のみならず、広く、経営および業務の有効性・効率性の向上、遵法や業務ルールの遵守なども加えた経営全般の課題として捉えています。この目的達成のために経営者、従業員が行なうすべての行為を内部統制と呼んでいます。いうなれば内部統制は経営全般の健全性に係る課題であり、COSOをベースに経営基盤を作ることによって初めて、企業価値や国際競争力向上に向けた攻めの経営も可能となると考えられているのです。

内部統制規制の世界的な拡がり

SOX法の制定を受けてイギリス、フランス、韓国などにおいても内部統制評価に関する法制化が進められています。日本においても、2005年7月に金融庁が「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」(公開草案)を公表し、今後、証券取引法改正の一環として2008年から2009年をめどに法制化される見込みとなっています。この日本版SOX法は米国のSOX法と同様に、COSOを基本的なフレームワークとしており、内部統制評価に係る報告を義務付けています。

経営革新としての内部統制

内部統制という言葉はどうしても負のイメージが付きまといます。内部統制評価に膨大な時間、労力、コストがかかることを懸念し、できればやりたくないと考える企業も多いでしょう。COSOが導入した新しい概念を前向きに捉え、経営全般の効率化、価値向上、あるいはリスクマネジメントの強化にどれだけ経営者の視点が向くかが今後のグローバルな競争における勝負の分かれ目ではないでしょうか。既に先進米国企業は業務プロセスの文書化、業務見直しを終え、新たな経営革新に向けた動きを模索し始めています。

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