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株式会社日立総合計画研究所

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京都議定書

所属部署:マネジメント・イノベーショングループ
氏名:佐藤 尚彦

京都議定書とは

国際的に広がりを見せる環境問題の中で最もホットな話題が、温室効果ガスの削減を目的とした京都議定書です。京都議定書は、地球温暖化防止の具体的施策を決定し、世界各国の役割と責任を明確化することを目的に、1997年12月に京都で開催されたCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)において採択されました。京都議定書は、1992年の国連環境開発会議で世界155カ国が署名、1994年に発効した気候変動枠組条約の運用規定書であり、条約締約国が担う役割と責任を明記しています。その後、米国の離脱などの紆余曲折はありましたが、ロシアの批准を経て、2005年2月に発効しました。

京都議定書の温室効果ガス削減の仕組み

京都議定書には、気候変動の安定化のために規制的措置、自主的措置、経済的措置の三つの措置が講じられています。第一の規制的措置は先進国に課せられた法的拘束力のある数値目標です。日本などの先進国には、1990年比で温室効果ガスの削減目標が定められています。但し、気候変動枠組条約は国際条約であり、国内法のような法規制による罰則を特定の国家に与える力は付与されていません。その代わり、京都議定書の運用を担う国連のCOP/MOP会議が、各国の取り組みを監視し、条約を遵守しない国家に対しては必要に応じた要請を出すことで実質的な拘束力を発揮することになっています。第二は途上国に課せられた自主的措置です。自主的措置とは、自主的に温室効果ガスの削減に取り組むことを国際社会に約束することを意味します。第三は経済的措置といわれる、市場原理を導入した京都メカニズムです。

京都議定書における市場原理を活用した温室効果ガス削減方法

京都メカニズムは、対策実施による温室効果ガスの削減効果を経済的価値に置き換えることを認めており、コストとして受け取られがちな環境保全に経済的インセンティブを持たせた先進的な手法だといえます。京都メカニズムを活用した温室効果ガスの削減実施した場合、その対価としてクレジットと呼ばれる排出削減量証明が主体者である先進国に発行されます。クレジットは、先進国が自国の削減目標達成のために活用したり、市場を通じて通貨に交換することができます。最近新聞等でよく見かけるCDM(クリーン開発メカニズム)は、京都メカニズムのスキームを活用した温室効果ガスの削減方法の一つです。

京都議定書に代表される気候変動問題の重要性

「ロンドンに対するテロ攻撃」「気候変動」「アフリカと開発」「世界経済、石油及び貿易」「地域情勢及び不拡散」。ここに挙げた5つの項目は、2005年7月に開催されたG8サミット(主要国首脳会議)の議長総括で採りあげられた項目です。京都議定書に代表される気候変動問題は、今や経済問題、政治問題と並ぶ国際的に解決すべき問題に位置付けられています。また、気候変動問題は、企業にとっても経営課題として取り組むべき問題であることは周知の事実ですが、先進的企業にとっては事業戦略上、重要な検討課題になっています。

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