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株式会社日立総合計画研究所

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「旬」なキーワードについての研究員解説

バイオ燃料

所属部署:社会・生活システムグループ
氏名:大倉 渉

「バイオ燃料」とは

バイオ燃料は大きく、バイオエタノールとバイオディーゼルに分類されます。従来の燃料が石油を原料として製造されているのに対し、バイオエタノールやバイオディーゼルは植物を原料として製造されることから、バイオ燃料と言われています。
日本では、今年4月27日より、首都圏50カ所(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)のガソリンスタンドにおいてレギュラーガソリンとしてバイオガソリンの販売が開始されました。バイオガソリンとは、植物から製造したエタノール(バイオエタノール)の成分をガソリンに混合したものです。現在は、バイオガソリンの品質安定化のために純粋なエタノールではなく、石油系ガスの一種であるイソブテンとの合成によって生成されるバイオETBEが混合されています。また、既存の自動車エンジンへ影響を与えない範囲で導入するという意味で混合比率は3%となっていますが、今後自動車エンジンの開発が進めば、混合比率も上がっていきます。

なぜバイオ燃料が注目されているのか

バイオ燃料が注目されている背景には、温室効果ガス排出削減と、石油代替燃料としての役割という二つの大きな理由が挙げられます。バイオ燃料は1年生の植物を原料としており、バイオ燃料を燃焼させて発生したCO2は次世代の植物の光合成によって吸収されるため、大気中のCO2増加につながらないという考え方(カーボンニュートラル)によって、京都議定書で義務付けられている温室効果ガス排出量として計算しないことになっています。また、日本はエネルギー源である原油のほとんどを中東からの輸入に頼っているため、石油代替燃料としての役割は、依存先の分散という意味で非常に重要です。

日本の取り組み

日本ではこれまで京都市や松山市、富山市などの各地で小規模ながらバイオディーゼルが実用化されてきましたが、バイオエタノールの実用化は今回のバイオガソリンの販売で始まったばかりです。政府は、日本が京都議定書で約束している温室効果ガス削減目標の達成に向けて、2010年には全国に展開し、国内で消費されるガソリンの半分をバイオガソリンとする計画を立てました。その後段階的に導入を拡大し、2030年には全量を10%混合のバイオガソリンとする計画です。日本国内でのバイオエタノールの生産はまだ非常に少ないため、ガソリンに混合するエタノールは現在そのほとんどをフランスからの輸入に頼っています。将来的には北海道の小麦や沖縄のサトウキビを原料としたバイオエタノール国産化や、廃木材を原料としたバイオエタノールの生産本格化が見込まれています。

世界のバイオ燃料

世界各国でバイオ燃料の製造、実用化が進められています。ガソリン車の多い米国ではトウモロコシを原料としたバイオエタノールが、ディーゼル車の多いヨーロッパではナタネなどを原料としたバイオディーゼルが5〜10%の混合燃料として普及し始めています。ブラジルでは豊富で安価なサトウキビを原料としたエタノール燃料の実用化が特に進んでいます。既にガソリン燃料には20%以上のバイオエタノール混合が義務付けられており、一部のガソリンスタンドでは100%エタノールも燃料として販売されています。
また、中国、インド、フィリピン、マレーシアといったアジア諸国でも大豆やパームを原料としたバイオディーゼルの製造への取り組みが本格化しつつあります。 一方で、バイオ燃料の本格普及にはまだまだ多くの課題が残っています。バイオ燃料は製造コストが高いため、多くの国で燃料税の免除や製造設備への補助金といった優遇措置が取られています。バイオ燃料の導入が本格化してくる中、米国では原料となるトウモロコシが食料用途との競合により需給がひっ迫して価格高騰が問題となっています。また、原料となる作物を大量に収穫するための大規模なプランテーションによる森林伐採も懸念されています。さらに、食糧難にあえぐ貧困国がある中で、トウモロコシや大豆といった食料作物を燃料として消費してしまうことに対する倫理的議論も起きています。ナンヨウアブラギリなどの食用でない作物や、木材、海藻などを原料とするバイオ燃料の開発が進められていますが、バイオ燃料が燃料の主流になるにはまだ時間が必要です。

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