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株式会社日立総合計画研究所

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「旬」なキーワードについての研究員解説

観光庁

所属部署:社会・生活グループ
氏名:西谷 亜希子

観光庁創設までの経緯

「観光庁」とは、2008年10月1日に観光立国の実現に向けて国土交通省の外局として発足した組織です。外局の新設は金融庁発足から実に8年ぶりで、初代長官には本保芳明氏(前国土交通省総合観光政策審議官)が就任しました。
観光立国実現に向けた取り組みは、2003年から当時の小泉内閣の下で「ビジット・ジャパン・キャンペーン」という形で開始され、2007年までに訪日外国人旅行者数が2003年当時の521万人から853万人と6割増加するなどの進展が見られました。しかし、日本の訪日外国人旅行者数の国際ランキング(2006年)は世界で第30位であり、首位のフランス7,900万人には遠く及ばず、アジアの中でも第7位と低迷している現状にあります。


世界各国・地域への外国人訪問者数ランキング(2006年)
出典:国際観光振興機構(JNTO)

2006年12月には議員立法により「観光立国推進基本法」が成立し、同法に基づき2007年6月には「観光立国推進基本計画」が閣議決定されました。同計画では、5つの具体的な数値目標が掲げられています。

  1. 訪日外国人旅行者数を2010年までに1,000万人にする(2006年733万人)
  2. わが国における国際会議の開催件数を2011年までに5割以上増やす(対2005年(168件)比)
  3. 日本人の国内観光旅行における一人あたりの宿泊数を2010年までに年間4泊にする(2006年度2.77泊)
  4. 日本人の海外旅行者数を2010年までに2,000万人にする(2006年1,753万人)
  5. 国内における観光旅行消費額を2010年までに30兆円にする(2005年24.4兆円)

また、フランスや米国、シンガポールなど世界の多くの国は観光を主要産業として位置付けて力を入れているのに対し、日本は観光に関する施策を実行する組織が一元化されておらず、施策間の調整が機能していない例も少なからず見られる点が関係各所で指摘されていました。観光立国推進基本法制定時の衆参両院の国土交通委員会においても「観光庁等の設置の実現に努力すること」とする決議及び附帯決議が付されています。このような背景のもと、2008年4月「国土交通省設置法等の一部を改正する法律案」が成立し、この計画を着実に実施する司令塔組織として観光庁が設置されることとなりました。初年度の予算額は、2008年度の国土交通省総合政策局観光部門の予算を引き継ぎ63億円、2009年度には77億円が概算要求されています。なお、関連省庁にまたがる観光関連予算額は2008年度2,091億円、2009年度には前年比606億円増の2,697億円が概算要求されています。

観光庁の意義

観光は観光業、宿泊業、輸送業、飲食業、土産品業など関連する業種が多いため、経済波及効果が大きいのが特徴です。2006年度の国内の旅行消費額は23.5兆円でしたが、生産波及効果は52.9兆円で国内生産額の5.6%、付加価値効果は28.3兆円で名目GDPの5.6%にも相当し、雇用効果は総就業者数の6.9%にあたる442万人との推計(国土交通省「平成18年度旅行・観光産業の経済効果に関する研究」)もあります。雇用の拡大、関連産業の振興による地域の活性化、さらには国際社会における日本のプレゼンス向上が期待され、観光立国の実現は21世紀の日本経済社会の発展に不可欠な重要課題として「観光立国推進基本法」でも位置付けられています。
観光庁設置により、(1)諸外国に対して観光交流拡大に関する交渉を強力に推進する体制、(2)関係省庁に対して調整・推進を強力に行う体制、(3)地域・国民に対する窓口を一元化し地方公共団体・民間の観光地づくりの取り組みを強力に支援する体制、が整備され観光立国を官民挙げて総合的かつ計画的に推進することが可能になります。観光庁の職員には民間や地方自治体、他省庁出身者も登用し、省庁間の縦割りを解消し政府部内での調整機能を促進します。

魅力ある国づくり

観光庁はまず、2008年7月に施行された「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律(観光圏整備法)」に基づいて、観光地が自治体の枠を越えて広域的に連携した「観光圏」を整備し、日帰りより経済波及効果の大きい滞在型や周遊型の観光インフラ整備に積極的に取り組む方針です。同庁発足後の10月3日には16地域を「観光圏」として指定し、補助金や融資、規制緩和などで支援し、広域観光の定着を目指します。


出典:観光庁「観光圏整備実施計画認定対象地域」

真の観光立国を実現するためには訪日外国人観光客数を増やすだけでなく、日本人の観光客にも魅力ある観光地づくりが求められます。日本固有の伝統・文化・自然に加え、企業の最新テクノロジー、映画やアニメなどの日本のすぐれたコンテンツなども観光資源として活用することで、魅力ある国づくりが進展することが期待されます。

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