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上海の「移民問題」
日立総合計画研究所
銭 蔚

先日、国際会議に出席するため、初めてイタリアのミラノに行ってきた。自由時間を利用し、町の中心部を回った。中世の街づくりに感銘を受けたと同時に、イタリアでは移民が意外と多いことにも気付いた。耳に入ってくる言葉は、明らかに陽気なイタリア語となじみのある英語ではない。現地の人に聞いたら、ロシア語、アラビア語と東欧諸国の言葉と分かった。

国際会議のテーマは、国際経済情勢であるが、欧州の話題になるたびに、必ず言及されたのは、人口問題である。Fertility Issues in Europe。つまり、欧州における出産率の問題。イタリアを含む欧州先進国の人口は、年々減少傾向をたどっている。それを引き止めるため、保守的なEU諸国は、育児を含む少子化対策を促進するとともに、周辺の発展途上国の移民を受け入れざるを得ない。

この問題には、EU諸国だけではなく、ロシアも直面し始めている。ちょうど会議の開催中、ロシアのプーチン大統領は、ロシアの人口は、毎年70万人程度減少しており、今後、この傾向を引き止めなければ、ロシアにとって致命的なダメージとなるに違いないと議会で警告を発した。

一方、世界最大の発展途上国である中国では、人口の減少よりも人口の増加をどう抑えていくのか、政府が頭を悩ませている。しかし、上海のような大都市部では、既にイタリアなどと同様に、人口が減少しており、内陸部からの出稼ぎ労働者をどう活用するのかが大きな課題となっている。

上海には、1,500万人の常駐人口のほかに、300万人の流動人口もいる。流動人口は、上海の経済および上海人の生活を裏で支えている。一つの例を挙げると、中国では、最近、日本のような大型連休が増えており、主に2月の旧正月、5月の労働節と10月の建国記念日がそれぞれ一週間の連休となっている。連休になると、大半の出稼ぎ労働者は帰省する。上海市内の交通状態はだいぶ緩和され、建設現場の機械の騒音がなくなると同時に、朝飯を売る人、家を掃除する家政婦、散髪をする理容師、街を掃除する人がそれぞれいなくなる。そのとき、上海市民は、初めて「移民問題」の重要性を認識し始める。

中国に、「水往低処流、人往高処走」ということわざがある。意味は、水は高いところから低いところに流れるが、人は低いところから高いところへと流れる。経済格差がある限り、移民の流れは、引き止めることができない。人の移動は、文化、歴史、習慣の相違により、メリットとデメリットを伴う。地元の住民と外からの移民とが、経済の先進地域において役割分担をし、お互いにサービスを提供して、補助的な関係になれば、理想的である。

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