第6回:早起き・あいさつ・朝ごはん
宮田野球スポーツ少年団は、「僕たちのチームはみんな仲良く、守打ともに力を入れて頑張っている。絶対優勝して、竹内杯の歴史に名を刻むぞ!!」と、大会パンフレットに熱い決意を記している。
この竹内杯を競う大会とは、「竹内亀次郎記念杯日立市少年少女スポーツ育成大会」のことである。8月18、19日の両日、日立市において、市内の小学生1,194名、78チームの参加を得て、5種目で行われた。野球・バレーボール・ミニバスケットボール・サッカー・バドミントンである。日立みらい財団初代理事長であった竹内亀次郎氏(日立製作所・元副社長)が、スポーツを通じた少年少女の健全なる心身の育成を念じて呼びかけた大会は、今年で30回を迎えた。日立市の小学生にとっては、夏の甲子園大会に匹敵するほどに、すっかり定着した大会となっている。
私は、開会式の選手宣誓を受ける栄誉に浴した。昨年度の野球チャンピオン塙山野球スポーツ少年団のキャプテンは、途中で言葉が詰まってしまった。そこで彼は、ユニホームのポケットから宣誓の原稿を取り出したのだが、実は、ポイントの言葉は手の甲にも書いてあり、それをみつけて無事に続けることができた。緊張感とともに、気合も十分に入った宣誓だったので、選手たちの気持ちも高まったことだろう。
甲子園大会になぞらえるのは、8月であることだけが理由ではない。実際、この大会に参加した選手から10名の甲子園球児が出ているし、その1名は全国制覇チームのメンバーだ。Jリーガーまで成長した選手、イタリアで活躍したバレー選手も輩出しているし、ミニバスケットでは、15名の選手が、後にインターハイにいっている。
大会の施設が整っていることも大会の長所だ。みらい財団は、日立市体育協会と大会を共催しており、日立市市民運動公園に加えて、日立製作所のスポーツ施設も使われている。両翼とも100mあまりの、運動公園野球場、日製会瀬球場のマウンドに、朝日を背に浴びて立つ、小学生エースの姿は凛々(りり)しい。
小学生の大会であるから、6年生の投手と1年生の打者の対決もあるし、160cmと、120cmの選手がバスケットゴール下で争う場面もある。しかも、高学年や、身長の高いチームが勝つとは限らぬ戦いだ。偶然ショートバウンドを捕球できた3年生一塁手がほほ笑みとともにつけた自信、160cmの選手をかいくぐってゴールを決めた女子バスケット選手がすぐさま守備に回るすきのない動き、チームの誰もが認める実力MFが甲高い声で示すリーダーシップ、などには私たちを幸福感にひたらせてくれる、一瞬のよさがある。
よいチームとはなんでしょうか、との私の問いに、30年間、大会を指導してこられた体育協会の方は、こう答えられた。「よいチームには、三つのキーワードがあります。早起き、あいさつ、朝ごはん。」
優勝への決意を記した宮田野球スポーツ少年団は、さすがによいチームだった。優勝した河原子野球スポーツ少年団に、準決勝で0−3と惜敗したが、3位を得た。仲の良い選手たちは、そろって、朝早く目覚め、大きな声であいさつをし、もりもり朝ごはんをいただける仲間に違いない。
78チームの来年が、いまから楽しみである。



