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VISTA(ビスタ)
所属部署:エネルギー・環境システムグループ
氏名:川島 直樹

VISTAとは

VISTAとは、BRICs経済研究所の門倉貴史氏が、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)に続く有力候補国の頭文字を取って、2006年11月6日に日経BPオンラインで提唱した「次世代の有力新興国群」を指します。具体的にはベトナム(Vietnam)、インドネシア(Indonesia)、南アフリカ(South Africa)、トルコ(Turkey)、アルゼンチン(Argentine)です。なお門倉氏は「眺望(Vista)」とかけているとも語っております。

以下、このVISTAに代表される「次の新興国」について、ゴールドマン・サックスの選定した新興国群「N-11(Next Eleven)」と対比してその内容を検討します。さらに、VISTAのポテンシャルとリスクを整理します。

ゴールドマン・サックスの「N-11」との対比

「N-11」は、ゴールドマン・サックスが”Global Economics Paper No: 134, ‘How Solid are the BRICs’”(2005年12月1日付)で打ち出した、世界経済に影響を与えると期待される次世代の新興国群11カ国です(表1参照)。ゴールドマン・サックスは、独自の成長環境スコア(Growth Environment Score: GES)を作成したうえで、N-11を選定しています。門倉氏はN-11について「ネクスト-11は玉石混交となっており、各国の中長期的な成長力についてはよく見極めていく必要がある」としてVISTAを提唱しています。門倉氏はVISTA選定に当たって、BRICsの高成長を支えている要因である、(1)豊富な天然資源、(2)若年労働力の増加、(3)外資の積極的な導入、(4)購買力のある中産階級の台頭、(5)政情の安定を考慮しています。また期間については、N-11が「2050年まで」としているのに対し、VISTAは「中長期的に」としており、この違いも念頭におく必要があるでしょう。

表1 N-11とVISTAの対比

地域 N-11 VISTA
東/東南アジア インドネシア
韓国*
フィリピン
ベトナム
インドネシア
ベトナム
中央アジア バングラディシュ
パキスタン
中東 イラン
トルコ
トルコ
中南米 メキシコ* アルゼンチン
アフリカ エジプト
ナイジェリア
南アフリカ

*はOECD加盟国。太字はN-11とVISTAで選定国が異なる国を示す
資料:ゴールドマン・サックス ”Global Economics Paper No:134”ほかより日立総研作成

N-11はVISTAより多くの国を含んでいますが、中南米とアフリカについて選定国が異なっています。中南米についてVISTAではアルゼンチンを選定していますが、メキシコがOECD加盟国(いわゆる「先進国」)である点を考慮したと考えられます。またVISTAはアフリカで南アフリカを選定していますが、ゴールドマン・サックスはBRICsを提唱した“Global Economics Paper No:99”で、「BRICsの成長性指標に照らしてみると、南アフリカの2050年までの平均成長率は3.5%近辺で、(現在アフリカ最大の経済を誇るが)BRICsと同等に扱うには成長率が低すぎる」と指摘しており、N-11でもスタンスを変えていません。ただし2005年2月のG7でイギリスが BRICsに代わる概念として“IBSAC”(インド、ブラジル、南アフリカ、中国。BRICsからロシアを除き、南アフリカを含める)を提唱したように、南アフリカを新興国として扱う例もあります。

VISTAのポテンシャルとリスク

以下に、VISTAのポテンシャルとリスクを整理しました。国ごとに固有の強みを有しており、成長が見込める一方で、懸念材料(リスク)があることに留意が必要です。

表2 VISTAのポテンシャルとリスク

国名 ポテンシャル リスク
ベトナム
  • 「チャイナ+1」:中国リスク分散のためベトナム投資への傾向
  • 低廉・良質な労働力
  • 宗教対立が小さいなど、政情が安定
  • 天然資源が豊富
  • 2007年1月にWTO加盟、貿易・投資環境が整備される
  • 鳥インフルエンザなどの疫病
インドネシア
  • 人口規模大
  • 豊富な天然資源
  • 外資導入の推進
  • 中産階級台頭
  • 政情不安
  • 鳥インフルエンザなどの疫病
  • 原油高騰によるインフレ
南アフリカ
  • 豊富な天然資源を背景とした、アフリカ最大の経済圏
  • 2010年ワールド杯開催に伴うインフラ整備
  • 通貨高
  • 高失業率などの雇用環境問題
  • 治安問題
  • HIV問題
トルコ
  • 人口増(特に若年人口)
  • EU加盟交渉に伴う改革
  • 2000〜01年に金融危機、以降インフレ懸念
  • 天然資源不足・エネルギー輸入による経常赤字
アルゼンチン
  • 2001年の金融危機後、IMF主導により改革実施。改革により輸出競争力・景気が回復
  • 通貨下落およびIMF債務返済に伴う外貨不足、インフレ拡大

資料:BRICs経済研究所ほかより日立総研作成

期待される日本企業の技術力

現在のところ、中国や韓国が新興国に積極進出しているのに対し、日本企業はやや出遅れている感があります。一方で新興国の多くは、日本企業−特に日本企業の持つ技術−に大いに期待しています。その中でも、日本が世界をリードしていると言われている環境・省エネルギー技術への期待はとりわけ高いでしょう。新興国の環境・エネルギー問題は、新興国に共通した経済成長の制約になりつつあり、今後は世界的な課題になると考えられます。この課題解決に日本企業が貢献できれば、グローバル経済全体への貢献にもつながるでしょう。

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