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株式会社日立総合計画研究所

経済予測

日本・米国・欧州・中国など、世界の主要国・地域の最新経済予測

【中期・短期経済予測】調整局面に入る2008年の世界経済(2007年11月12日)



サブプライムローン危機をきっかけに世界的金余りは調整へ

2004年以降の世界同時好況は調整局面に入った。景気後退の可能性も排除できない。その原因は3つの世界的金余り現象の調整である。
第一は、米国のサブプライムローン危機の長期化である。米国の住宅価格は過去の適正水準と比較するとまだ高く、底を打つのは早くて2008年半ばである。住宅投資の減少そのものは経済規模からすれば大したことはないが、デリバティブ(新金融商品)を通じたサブプライムローン関連の評価損は世界の多くの投資家に広がっている。住宅価格下落に従い、その損失はさらに拡大すると予想される。その結果、金融機関の貸し渋りなど信用収縮が続くと予想される。
第二は、原油価格の高騰である。金融市場から逃避した投機資金は商品市場に流れている。原油価格や金価格は急騰し「原油100ドル時代」が到来した。1979〜80年の第二次石油危機当時と比較すると、原油価格は購買力ベースでは同程度だが、経済の原油依存度は半分程度に低下しているので、世界経済に与えるインパクトは当時の半分程度である。問題はこの水準がいつまで続くかであるが、それは中国経済の二けたの超高成長が鈍化する2008年半ばとみた。
そして、第三の要因は、その中国経済の過熱である。2007年2月に上海株式市場が暴落して、世界を震撼させたが、その後もう一段の急騰を見せている。中国の庶民までもが、北京オリンピックまでは政府は株を下げないと踏んで投資を続けていると報道されている。貿易黒字も対内直接投資も急増を続けてきた。中国経済も2008年半ばごろに急減速し2008年平均で8%の成長率に鈍化すると予測した。
このように、世界経済はサブプライムローン危機をきっかけに調整局面に入ると予想される。しかし、世界の金融当局が景気後退とインフレ防止を適切にバランスさせる金融政策をとれば、過去の石油危機と同じような世界同時不況までには行かないとみる。為替は、対ドルでは、2007年度116円、2008年度110円、対ユーロでは、2007年度160円、2008年度160円と予測。原油価格(通関ベース)は、2007年度74ドル/バレル、2008年度80ドル/バレルと予測。

世界経済は調整後、途上国主導で再び成長軌道へ

サブプライムローン問題は2008年まで住宅価格の下落を通じて住宅投資、個人消費に悪影響を与えるため、米国経済はこの間減速。米国需要の停滞は中国の輸出にも影響しよう。中国の固定資産投資は過熱しており、安定成長へ向けてどこかで減速せざるをえない。本予測では北京オリンピック終了がその契機となるとみる。EUやその他途上国は堅調さを維持するものの、米中の減速を受けて世界経済の成長率は低下。世界経済の実質GDP成長率は2006年4.0%から2007年3.7%、2008年3.2%と伸び率を落とす。
2007〜2008年の調整期を越えた2009〜2012年は、米国経済が再び3%弱の潜在成長率並みの成長に復帰。EU経済は東欧を取り込みながら堅調な成長を続ける。中国経済は8%台の安定成長、インドは7%台の成長を続けるなど、新興国が相対的に高い伸びで、世界経済をけん引。世界経済の実質GDPの年平均成長率は、ITバブル崩壊後の回復期を含む2002〜2007年3.6%よりも、今回の世界的金余り調整期を含む2007〜2012年は3.4%とやや低くなる。

図表1 世界経済の見通し


(資料)各種資料より日立総研作成、予測は日立総研

日本経済は2008年度輸出の鈍化と設備投資の一服から減速後、巡航速度へ

日本経済は、世界経済の鈍化を受け、対米輸出は既に減速しており、2008年度には対中輸出も鈍化する。これまで景気拡大をけん引してきた設備投資にも一服感。また、企業収益増加が家計所得の増加に結びついておらず、個人消費は盛り上がりに欠ける。住宅投資は改正建築基準法施行により7月以降急減。ただ、GDPデフレータは2008年度に下落が止まる見込みで、デフレ脱却が消費を促進し景気後退に陥ることはない見込み。日本の実質GDP伸び率は、2007年度1.9%、2008年度1.9%と鈍化。
日本経済の中期的重要課題である財政再建のためには消費税増税が不可避に。本予測では2010年4月に消費税率5→8%の税率引き上げを想定。2009年度に駆け込み需要、2010〜2011年度に反動減を見込むため、実質GDP成長率もその間上げ下げする。個人消費は労働分配率の低下により所得が伸び悩むものの、デフレだった2002〜2007年度よりは伸びを高める(年平均伸び率1.2→1.4%)。輸出も伸びは鈍化するものの拡大が続き、設備投資も名目GDP比で16〜18%の高水準で推移。日本の実質GDP年平均伸び率は2002〜2007年度2.1%に対し、2007〜2012年度1.9%とわずかに伸びが鈍化するものの、2%弱とされる潜在成長率並みの巡航速度の成長となる。

図表2 日本経済の見通し


(資料)内閣府「国民経済計算」などより日立総研作成、予測は日立総研
* 2010年4月より消費税率の5%から8%への引き上げを想定

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