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株式会社日立総合計画研究所

経済予測

日本・米国・欧州・中国など、世界の主要国・地域の最新経済予測

【短期経済予測】明暗分かれる世界経済‐トンネルの出口が見えてきた日米と依然見えない欧州・中国・インド‐(2013年06月06日)



1.日米に明るい兆しも、欧州の景気後退、中国・インドなど新興国の景気減速は続く

世界経済は緩やかに持ち直しているものの、各国の景気局面の違いがはっきりしてきた。 大胆な金融緩和を実施している日米には明るい兆しが見えてきた。金融危機直後から銀行の不良債権処理を迅速に実行すると同時に、FRBが非伝統的手法による金融緩和を行った米国では、家計の過剰債務調整が進み、歳出自動削減などやや緊縮的な財政政策の逆風はあるものの、成長のための土台が整ってきた。日本はアベノミクスがもたらした円高是正とデフレ脱却期待がマインドを明るくしている。

対して、ユーロ圏では、銀行の不良債権処理をユーロ圏全体ではなく各国の責務とした結果、政府債務危機に陥った周辺国では政府による銀行救済や整理が行えず、銀行危機が続いている。欧州ECBは2013年5月2日政策金利を0.25%引き下げた(0.75→0.5%)が、ドイツのインフレ恐怖症のためそれ以上の金融緩和に踏み出せていない。さらに、財政規律を加盟各国に一律に課した結果、ドイツなど中核国でも緊縮財政を行い、ユーロ圏全体の有効需要を減じている。周辺国の財政収支目標達成期限の延長など一部で緊縮財政を緩める動きがあるが、ユーロ圏全体では緊縮財政を続ける方針は現時点では変わっていない。英国もキャメロン政権が緊縮財政を堅持した結果、景気後退から抜け出せていない。欧州では、金融危機後の景気回復は2011年夏に腰折れて、二番底の景気後退が続いており、1990年代以降の日本と同様10年以上の低迷期間に入った可能性が高い。

欧州向け輸出の低迷や欧州金融機関による資金引き上げなどをきっかけに減速し始めた中国・インドでは、生産、所得の低迷を経て、内需の低迷による景気減速へと変容してきており、抜け出すのに時間がかかる見通し。アジア各国でも輸出主導での成長を図る国・地域は苦戦しており、内需が堅調なインドネシア、マレーシア、フィリピンなどが比較的健闘している。

2013年の世界の実質GDP成長率の予測値は、世界全体が3.3%と前回予測から0.1%下方修正だが、金融緩和の連鎖により緩やかに持ち直し局面は持続。2013年の米国は1.8%と前回予測より0.1%上方修正。後半以降成長は加速すると見込む。ユーロ圏は、2013年▲0.7%、2014年▲0.1%と、2012年から3年連続マイナス成長の見方は変わらない。新興国経済は5.4%と、前回予測より0.1%下方修正。インド5.5%は0.1%下方修正だが、中国7.8%、ブラジル2.3%は前回予測から変わらない。

2.日本経済は円安、株高、原油安を追い風に回復続く

日本経済は、2012年3月から景気後退に陥っていたものとみられるが、11月が底で、景気後退から脱したとみられる。2013年1〜3月期実質GDP成長率は3.5%と高成長になった。

アベノミクス第3の矢の成長戦略は2013年6月14日閣議決定予定だが、これまでに公表された概要を見る限り、短期的に成長を高めることは期待できない。むしろ、同じ6月中旬に閣議決定予定の「骨太の方針」(経済財政運営の基本方針)が2015年度にプライマリーバランス赤字の半減を掲げる見込みで、2014年度に早急な財政健全化のために緊縮財政が実施されるおそれが出てきた。2014年4月からの消費税率引き上げ(5→8%)の景気下押し効果を打ち消すため、投資減税や公共投資などの景気刺激策がとられると本予測は前提している。この前提が崩れると2014年度に景気腰折れのリスクがある。

2013年度の実質GDP成長率は、2.6%と0.3%上方修正。為替は95円/ドル、120円/ユーロ、150円/ポンドを中心に推移。消費者物価指数は2015年度2.5%(消費税率引き上げの影響を除いて1.8%)と2年程度でインフレ目標2%はほぼ達成されると予測。

世界経済の見通し


注:暦年ベースのため、日本の値は下表の年度ベースと異なる資料:IMF、
予測は日立総研

日本経済の見通し

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