エネルギーと環境の世紀といわれる今。これこそが地球レベルで取り組むべき急務の課題といえるだろう。それぞれの国家が、それぞれの地域が、そして、それぞれの企業が、将来にわたるエネルギー技術の大転換である、「エネルギー・レボリューション」競争にどう勝ち残っていくか。その戦略を構築する壮大なイノベーションに日立総研が取り組んでいる。このプロジェクトを中核でリードする研究員に聞いた。
「新しいエネルギー技術の開発とは、まさしく国家レベルの問題であり、多くの機関、多くの企業を巻き込んだグローバルなネットワークが必要です。その国のインフラ整備にはじまり、社会的なコンセンサスの形成、人材の発掘や育成も必須になります。しかも、次々と生まれてくる技術のシーズを把握しつつ、環境問題や地域問題、さらにコストパフォーマンスなどの多様な要素を考慮しながら、開発へ向けたロードマップを作り上げていく。新しいエネルギー開発をめぐる戦略には、総合的な視野が求められるのです。」
― 新しい戦略構築のための現在の主な仕事は?
「欧州とアメリカという二つのエネルギートレンドを見据え、まさに世界中を飛び回っています。年初には欧州そしてアメリカへと、現地の研究者や政府関係者と情報交換するために世界を一周しました。エネルギーの巨大消費地である中国の情報も見逃せません。また、現在、米国タフツ大学と、米国、欧州のエネルギー政策に関する共同研究を進めており、毎週、電話会議を行って内容を詰めているところです。」
― 情報を収集し分析するために不可欠なこととは?
「実際に人と会ってディスカッションすることではないでしょうか。例えばエネルギー問題や技術開発の研究成果はネット上でいくらでも調べることはできる。しかし、具体的に、新たな政策提言を行ったり、事業を推進するためのパートナーとなるためには、実際に会って話し合うことが不可欠です。自分の問題意識は何か。それが問題の解決のためにいかに有効なのか。通り一遍のヒアリングではなく、深い議論としなければ、本当に知りたい情報は得られないし、レベルの高いアウトプットは出せないということです。」
― エネルギーと環境問題に特化したスキルが必要か?
「この問題に対する深い知識はもちろん必要ですが、それは勉強すればいいこと。大切なのは広大なエリアを見渡すために、いかに高い視点で物事を見つめられるか。それこそが最も必要なことだと思います。新たな切り口やアイディアは、細部に埋没するのではなく、高い視点に立つことで、初めて得られることが多いといえます。それから、何事にも興味を持つ好奇心も必要でしょう。すべての社会現象は、エネルギー・環境問題に通じるからです。」



