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株式会社日立総合計画研究所

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Population Health Management(PHM)

所属部署:研究第三部 社会・生活グループ
氏名:中村 桃子

1.Population Health Managementとは

医療費の増大が各国で喫緊の問題となる中、治療だけではなく健康増進や予防、予後に対処していく取り組みが増えています。その中の一つとして、米国を中心に注目を集めているのがPopulation Health Management (以下PHM)です。
PHMとは、ある特定の人口、例えば特定の地域の社会保険受益者などに対し、予防から予後まで長期スパンで慢性疾患のリスクを低減する健康管理の仕組みです。慢性疾患は健康管理によって重症化を未然に防ぐことが可能であり、治療にかかるコストを抑えることができます。PHMでは、ターゲットとなる集団に属している人の健康データを収集し、収集したデータ(性別や罹患(りかん)歴など)の中から、集団の中の一人ひとりが慢性疾患に関してどの程度リスクがあるかを分析します。その結果に基づき、各人を慢性疾患に対しリスクのある人、既に罹患している人、予後の段階にある人に分類し、それぞれの対象者に適したケアを提供するなど、適切な医療介入を行うことによってリスクの低減をはかります。


図1.PHMのフロー

2.PHMの特色

医療費の増大が各国で喫緊の問題となる中、治療だけではなく健康増進や予防、予後に対処していく取り組みが増えています。その中の一つとして、米国を中心に注目を集めているのがPopulation Health Management (以下PHM)です。
PHMとは、ある特定の人口、例えば特定の地域の社会保険受益者などに対し、予防から予後まで長期スパンで慢性疾患のリスクを低減する健康管理の仕組みです。慢性疾患は健康管理によって重症化を未然に防ぐことが可能であり、治療にかかるコストを抑えることができます。PHMでは、ターゲットとなる集団に属している人の健康データを収集し、収集したデータ(性別や罹患(りかん)歴など)の中から、集団の中の一人ひとりが慢性疾患に関してどの程度リスクがあるかを分析します。その結果に基づき、各人を慢性疾患に対しリスクのある人、既に罹患している人、予後の段階にある人に分類し、それぞれの対象者に適したケアを提供するなど、適切な医療介入を行うことによってリスクの低減をはかります。

表1.従来医療とPHMの比較
  従来医療 PHM
対象 罹患している個人 健康な人も含む集団
主な目的 病気を治すこと
重症化させないこと
罹患させないこと(健康増進)
病気を治すこと、重症化させないこと
再発を防止すること
対象疾患 すべて データによりリスクが予測可能なもの
慢性疾患(非感染性疾患)
患者の関わり方 医師によるケアが中心 患者自身の参加も求められる

資料:各種資料より日立総研作成

第三に、PHMは医療を施す側と施される側が対話することも重要となります。データに基づいてリスクの度合いを調べ、それぞれに適したケアを提供し、セルフケアを促す、という対話を通じて医療を施す側と患者が健康問題に向き合います。そうすることで対象者の健康意識が向上し、効果が高まることも期待されます。
このように、PHMはその集団の健康を管理する主体が集団全体の中で誰がハイリスクかを探しだし、将来的に掛かるはずであった医療に関わるコストを未然に防ぎます。
医学と技術の進歩はさまざまな方法で人々を健康にし、医療の質を向上させています。PHMもまた技術の進歩によってもたらされた新たな健康管理の手段の一つと言えるでしょう。
また、PHMを行うとその取り組み単位で医療にかかる費用を抑えることが可能となり得るため、今後この取り組みが広まることにより、社会全体の医療費を削減できる可能性が期待できます。

3.今後の展望

PHMに関して特筆すべき事項として、データを扱うことがあります。PHMの対象は病気にかかっている個人ではなく健康な人を含む集団となるため、膨大なデータを収集、管理、分析するITインフラが不可欠であり、データ収集と解析の制度向上が鍵となります。このステップの精度が上がれば、よりコストを抑えたケアの提供と健康増進が可能となるため、この分野での技術革新が期待されています。

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