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Vol.16-1(2021年5月)

加速するグリーンファイナンス−脱炭素社会をめざして−

Foreword

巻頭言

デジタルとサステナブル

学生時代、自転車で国内のさまざまな場所を旅行した。覚えているのは、林道を経てたどり着いた山の中のキャンプ場で見上げた満天の星であったり、厳しい峠道を上り切った後に感じた、すがすがしい風であったりする。

HRI Report

特集レポート

脱炭素化を支援するファイナンスの動向−グリーンボンドおよびトランジションボンド−

SI-PI 推進室 主任研究員
山口 英果

経済協力開発機構(OECD)の試算によると、パリ協定の「2度目標」達成には、2016〜2030年までに世界全体で毎年平均6.9 兆ドルのインフラ投資が必要となる。気候変動対策に必要な多額の財源を賄うには、公的資金だけでは不十分であり、より多くの民間資金を振り向ける金融スキームが必要となる。

山口英果氏

Interview

対談

多彩な知識人が集うアテナイに学ぶ知的イノベーションと都市

納富 信留 氏

今回は古代ギリシアにおける「哲学(フィロソフィア)の誕生」を研究テーマとされている東京大学の納富信留氏をお招きし、古代ギリシアで学芸・文化が花開いた背景、知的イノベーションを生んだアテナイのありようについて伺い、現在そして未来の、知と都市のあり方について考えていきます。

納富信留氏と内藤理氏

Contributions

寄稿

グリーンファイナンスの潮流と課題

公益財団法人国際金融情報センター 理事長
玉木 林太郎

気候変動を緩和しその影響に適応していくための政策や企業行動の変化が急速に進みつつある。中でも化石燃料からの脱却(脱炭素)は最も重要なテーマである。

玉木林太郎氏

進むグリーン&サステナブルファイナンスのフレームワークづくり

環境金融研究機構 代表理事
藤井 良広

米国のバイデン政権登場により、国際的な気候変動へのコミットメントは一気に前進した。主要国は、温室効果ガス排出量の「2050年ネットゼロ」に加え、「野心的な」2030年の中間目標を宣言、パリ協定の目標実現への取り組みが現実課題となった。

藤井良広氏

金融監督当局が提唱する気候シナリオ分析ツール

金融庁 チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー
池田 賢志

金融監督当局および中央銀行が気候リスクへの対応に係る国際的な検討を進めるネットワークであるNGFS(The Network of Central Banks and Supervisors for Greening the Financial System)は、金融機関および金融監督当局双方の気候変動を巡るリスク管理能力を向上させるべく、気候シナリオ分析ツールを提唱し実際の開発を進めている。

池田賢志氏

気候ファイナンス分野の国際標準化機構(ISO)の動向

株式会社日本総合研究所 理事
足達 英一郎

国際標準化機構(ISO;International Organization for Standardization)は、電気および電子技術分野を除く全産業分野に関する国際規格の作成を行う非政府組織である。

足達英一郎氏

The Cooperation Imperative and the Future of the Japan-China Relationship

Cary Krosinsky
Co-founder, Sustainable Finance Institute
Lecturer, Yale and Brown University

Solving climate change is the imperative of our times and additional areas of social and environmental concern remain unsolved, such as are well outlined by the UN's Sustainable Development Goals (SDGs).

Cary Krosinsky氏

Voice from the business frontier

ビジネスの最前線から

EUにおけるグリーンファイナンスやタクソノミー規則の動向

日立ヨーロッパ ブリュッセル事務所 シニアマネージャー
(在欧日系ビジネス協議会<JBCE>CSR委員会委員長)
木下 由香子

日立ヨーロッパ・ブリュッセル事務所のシニアマネージャー(Head of CSR/Sustainability)、在欧日系ビジネス協議会(JBCE)CSR委員会委員長として、EUのサステナブルファイナンスの動きを注視されている木下由香子氏にお話を伺いました。

木下由香子氏

Research Project

研究紹介

日本の危機管理の現状と課題

SI-PI 推進室 シニアエキスパート
椎橋 建夫

ポストコロナ時代の重要政策課題の一つとして再考されるべきなのが、緊急事態対処のあり方ではないか。自然災害で繰り返された政府の初動対処の遅れや混乱が今次コロナ禍においても顕在化した。

椎橋建夫氏

Book Review

先端文献ウォッチ

Yossi Sheffi著「The New (AB) Normal: Reshaping Business and Supply Chain Strategy Beyond Covid-19」

研究第一部 主任研究員
高橋 俊行

いま、社会は気候変動に伴うさまざまな自然災害の脅威にさらされている。保険サービス会社のエーオンによると、2010年代(10年間)の自然災害による世界の経済的損失は3兆ドルと、2000年代比で約1.5倍に増えたという。

高橋俊行氏

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