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株式会社日立総合計画研究所

経済予測

日本・米国・欧州・中国など、世界の主要国・地域の最新経済予測

【短期経済予測】不確実性の中で芽吹く21年回復への期待(2020年12月15日)

1.世界:先進国中心に、ワクチン普及による21年の回復期待がようやく台頭

20年の米国は大統領選挙結果を巡る大混乱回避も、党派対立で対策は小粒となり回復緩やか。欧州は感染再拡大を受けたロックダウンで10-12月期に再びマイナス成長。中国は内需主導で回復継続。複数の有効ワクチンの開発が早いペースで進んでおり、21年後半には一部先進国中心に接種率7割超に普及。世界のGDP成長率は、20年▲4.0%の大幅マイナス後、21年は5.0%と持ち直し。当面は、業種間で改善状況の差が続くが、21年後半に向け、先進国中心にようやく回復期待が醸成。

2.米国:21年は「暗い冬」から始まるが、ワクチン接種が広がった年後半に回復加速

20年7-9月期前期比年率33.1%と急回復も、10月以降は感染再拡大と営業時間制限などを受け10-12月期同3.4%、21年1-3月期同0.0%と回復鈍化。20年内に、雇用保険上乗せ、返済免除ローン、ワクチン接種促進策など0.9兆ドル程度の追加対策。1月5日ジョージア州上院2議席決選投票で共和党が民主党の上院支配を阻止見通し。ワクチン接種が広がった21年後半には20年余剰貯蓄が消費され回復加速も、インフラ投資などは実施できず。20年▲3.6%、21年3.6%とV字回復はできず、完全雇用に戻るのは23年半ば。

3.欧州:20年10-12月マイナス成長も、金融・財政政策とワクチン接種で21年回復

20年7-9月期ユーロ圏は前期比年率61.1%と急回復も、10月以降の感染再拡大に対し11月に多くの国で再びロックダウンに入るなど、10-12月期はマイナス成長。製造業は回復維持も、3密業種を中心にサービス業で生産、雇用減少。ECBは買取資産額の積み増しにより金融緩和を強化。財政に余裕のない南欧諸国でも、復興基金に支えられ、財政拡張継続。21年後半ワクチン接種広がり回復加速。ユーロ圏成長率は20年▲7.6%、21年4.5%。英国は20年末No Deal Brexit回避、20年▲11.6%、21年5.2%。

4.中国:投資をけん引役に経済回復、雇用・消費も回復で21年は8%成長に

新型コロナ収束に伴う順調な製造業稼働復帰、積極的な財政・金融政策発動効果により、20年7-9月期の中国経済は前年比4.9%と、4-6月期(同3.2%)から拡大。回復遅れが目立っていた消費も、自動車販売が拡大、7-9月期はプラス寄与に。今後はインフラプロジェクト進捗による投資増、雇用情勢安定を受けた消費の持ち直しで、内需中心に回復続く。成長率は20年2.2%、21年は8.0%。政府は双循環戦略を推進へ。

5.インド・ASEAN:インドは需要喚起策実施も、回復は21年。ASEANはばらつき残る

インドの新規感染者拡大は9月中旬をピークに減少基調。3月から続いた全土ロックダウンは一部地区を除き徐々に緩和。政府は20年10月に、感染拡大後初めてとなる7,000億ルピー強(約1兆円強)の需要喚起策を発表し、消費、投資の喚起を企図。他方、物流制約などによる物価上昇が続き、金融緩和に足かせ。20年度は▲7.5%、21年度9.5%。ASEANはベトナムのみ堅調。マレーシアは電気電子機器輸出を追い風に持ち直し。

6.日本:政府下支えで回復続く、三密回避不可産業とその他産業の間で回復に差

20年7‐9月期は前期比年率22.9%。政府の消費刺激策を受け個人消費が回復。ただし、雇用不安と感染再拡大による外出自粛により、今後の消費の戻りは緩慢。菅政権は総額74兆円の追加経済対策を編成、各種給付や消費喚起策の延長と国土強靭化に向けた公共工事増により21年度経済を下支え。輸出は回復、生産・投資は復調。半導体製造装置、デバイスなどIT関連や自動車の回復進むが、小売・外食・接客・公共交通など一部サービス業は低迷続く。実質GDPは20年度▲5.5%、21年度3.7%。完全雇用回復は24年度。

世界経済の見通し(実質GDP成長率)

世界経済の見通し
注:暦年ベースのため、日本の値は下表の年度ベースと異なる
ASEAN5はインドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム
資料:IMF、予測は日立総研

日本経済の見通し

日本経済の見通し
注:消費者物価指数(コア)は増税分を含む
資料:内閣府ほか、予測は日立総研

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