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株式会社日立総合計画研究所

経済予測

日本・米国・欧州・中国など、世界の主要国・地域の最新経済予測

【短期経済予測】米国加速と中国安定拡大で世界経済回復も感染拡大のリスクは依然存在(2021年06月16日)

1.世界:米国の回復加速が世界経済をリード。ただし感染拡大リスクに警戒継続要

新規感染は減少基調。米欧を中心にワクチン接種進展。世界経済は、21年から22年にかけ、大規模経済対策効果で加速する米国をけん引役に成長。中国は安定拡大続き、欧州も21年後半から回復。21年の世界成長率は5.6%、22年は4.4%。ただし、新興国のワクチン普及は22年後半から23年前半。インドは感染再拡大などによる経済下振れリスク。日本は今夏以降ワクチン普及加速。変異株による世界的な感染再拡大が21年の最大のリスク。

2.米国:迅速なワクチン普及と追加経済対策で回復が加速、世界経済のけん引役に

バイデン政権は、総額約6兆ドルの大型経済対策発表。ワクチン接種も迅速に進展、21年初の米経済は好調な発進。21年後半もサービス消費を中心に景気は堅調維持。22年からはインフラ投資や家族支援の対策が固定投資や消費をさらに押し上げ、世界経済の回復をけん引。需給引き締まりで21年のコアインフレ率は一時的に目標値2%を上回るが、FRBは容認。テーパリング開始は22年、利上げは23年末。成長率は、21年6.4%、22年3.7%。

3.欧州:まだら模様の景気回復。年後半よりワクチン、復興基金、外需増により回復加速

ロックダウン延長により21年初のユーロ圏経済はマイナス成長に。各国感染状況や、産業毎の影響度の違いにより景気回復のスピードに格差。しかし、21年後半からは、①ワクチンの普及、②復興基金の交付、③米英など域外経済の回復により、景気回復は加速。ユーロ圏の実質GDP成長率は、21年4.4%、22年3.9%。なお、21年9月にはドイツで連邦議会選挙が実施され、環境政党が政権入りする可能性大。英国経済は、ワクチン接種が相対的に早く進み、21年は回復ペースを加速。英国の実質GDP成長率は、21年6.0%、22年5.5%。

4.中国:21年は経済安定重視、8%近傍の成長。国際関係や企業債務問題にリスク

21年1〜3月期は前年の反動増で18.3%と高成長も、前期比の伸びは0.6%と緩慢、実態は安定回復。世界的需要増を受け医薬品やIT機器などの輸出拡大、製造業投資も回復。雇用所得環境の改善で消費も回復。22年党大会を前に、指導部は過度な消費刺激策、急速な金融引き締めを控え、経済や金融システムの安定維持を重視。実質GDP成長率は21年8.2%、22年5.5%。米欧やインドなどとの国際関係悪化、および金融支援縮小による国内企業の債務問題悪化などが当面のリスク。

5.インド・ASEAN:インドは感染再拡大リスクあり予断許さず、ASEANは回復格差残存

インドは21年3月下旬以降の感染急増が足元で収束の方向性。21年度は、20年度落ち込みの反動、財政対策も、年度初めの停滞が響き、実質GDP成長率は9.5%。経済活動制限緩和に伴う変異株など感染再拡大のリスク残存。ASEAN各国は回復速度に引き続きばらつき残存。内外需堅調なベトナムや輸出増が追い風となるマレーシアでも、新規感染増加による活動停滞リスクに注意要。

6.日本:21年度後半にサービス需要回復も、他先進国比での相対的回復力に見劣り

緊急事態宣言とワクチン展開遅延で、21年前半の消費は低調、サービス業中心に景気回復に遅れ。他方、中国向け中心とする輸出増加が、生産用機械や電子部品・デバイスの生産回復を後押し。製造業を中心に設備投資は回復へ。第3次補正予算や国土強靭化予算増を受けた公共工事増も内需回復を下支え。21年度後半にはワクチン接種が進展、活動制限緩和で飲食、宿泊、娯楽、公共交通などサービス需要も回復。実質GDP成長率は21年度3.0%、22年度3.3%。潜在成長力は引き続き低下、成長戦略の着実な実行、グリーンインフラやデジタル投資の加速による、経済の持続的な回復が不可欠。

世界経済の見通し(実質GDP成長率)

世界経済の見通し
注:暦年ベースのため、日本の値は下表の年度ベースと異なる。ただしインドは年度ベース
ASEAN5はインドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム
資料:IMF、予測は日立総研

日本経済の見通し

日本経済の見通し
注:消費者物価指数(コア)は増税分を含む
資料:内閣府ほか、予測は日立総研

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