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株式会社日立総合計画研究所

経済予測

日本・米国・欧州・中国など、世界の主要国・地域の最新経済予測

【短期経済予測】変異株による不透明感は残存も22年には自律回復による経済安定成長へ(2021年09月16日)

1.世界:ワクチンと治療薬普及が変異株の影響を抑制、22年には自律回復へ

新規感染は変異株により7月に再び増加も、英国などワクチン接種進んだ先進国では活動制限緩和で経済への影響は限定的。他方、ASEANなど新興国経済は停滞。22年には新興国においてもワクチン接種に加え、有効治療薬の開発・承認も進展。変異株の脅威は残存も、経済活動への影響は局所的なものとなる見込み。21年は政策効果により先進国経済を中心に回復、22年は新興国含め安定回復へ局面移行。成長率は21年5.6%、22年4.4%。

2.米国:デルタ株拡大の影響は限定的、22年はインフラ投資が景気を後押し

21、22年の米国経済は好調を維持。デルタ株の感染拡大も経済活動制限は行わず、景気への影響は限定的。バイデン政権は、総額4兆ドル規模の追加経済対策を年内に成立させると予想。22年は経済対策の効果が現れ、固定投資や消費が景気回復を主導。財の需給引き締まりにより21年のコアインフレ率は目標値2%を上回るが、FRBは容認。テーパリング開始は21年末、利上げは23年半ば。実質GDP成長率は、21年6.1%、22年4.1%。

3.欧州:ワクチン接種進展によりサービス業の回復が鮮明に。製造業の停滞は一時的

21、22年のユーロ圏経済は、高成長が継続。5月以降のワクチン接種の進展と行動制限措置の緩和により、遅れていたサービス業の業況が改善。主要国では人出が回復。半導体不足の長期化に伴いドイツなどの製造業で生産が停滞も、22年には解消。サービス物価の安定化により、インフレ率上昇も収束の見込み。ユーロ圏の実質GDP成長率は、21年4.4%、22年3.8%。英国は、デルタ株の感染拡大後も行動制限再導入を回避。21〜22年の英経済は、個人消費を中心に回復。英国の実質GDP成長率は、21年6.9%、22年5.8%。

4.中国:22年の党大会に向け、安定最優先の経済政策運営続く

経済はコロナ後の急回復局面から安定拡大局面に移行。自然災害の影響もあり21年夏にかけての経済活動はやや減速も、拡大基調を維持。消費回復も継続。22年党大会を前に、指導部は経済不安定化回避や人民の格差不満を抑制する政策運営重視。不動産市場の過熱抑制策は維持しつつも、景気腰折れ回避のため、必要に応じ金融緩和による中小零細企業支援やインフラ投資促進を講じる公算。実質GDP成長率は21年8.2%、22年5.5%。

5.インド・ASEAN:インドは感染落ち着き、ASEANは感染増もワクチン普及で回復へ

インドの感染急増はほぼ収束。21年度初めの経済停滞も、20年度落ち込みの反動と財政対策効果により、実質GDP成長率は9.5%に回復。ワクチン接種の遅れによる変異株感染再拡大のリスクは残存も、局所的な活動制限により経済への影響を抑制。ASEAN各国の新規感染は夏場に増加も、秋以降は活動制限効果で収束に移行。22年後半までにはワクチン普及進展で内需も持ち直し自律回復へ。ASEAN5の成長率は21年4.1%、22年5.4%。

6.日本:足元の景気は横ばいも、ワクチン普及で今冬以降サービス中心に消費が回復

緊急事態宣言の再発出・対象地域拡大により、景気は横ばい。一方、ワクチン接種完了率は5割に達し、11月には7割を超える見通し。今後、感染のピークアウトと共に、GO TOなど消費支援策が再開され、飲食、宿泊、娯楽などサービス業を中心に、消費は持ち直しへ。中国向け中心に増勢が続く輸出は、半導体製造装置など資本財や情報関連が引き続き堅調。企業は製造業中心に省力化や情報化などへの投資を増やし、設備投資も回復継続。日本経済の持続的回復には、経済政策および政策運営の継続性に課題。実質GDP成長率は、21年度2.9%、22年度3.8%。

世界経済の見通し(実質GDP成長率)

世界経済の見通し
注:暦年ベースのため、日本の値は下表の年度ベースと異なる。ただしインドは年度ベース
ASEAN5はインドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム
資料:IMF、予測は日立総研

日本経済の見通し

日本経済の見通し
注:消費者物価指数(コア)は前回予測は15年基準、今回予測は20年基準
資料:内閣府ほか、予測は日立総研

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