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株式会社日立総合計画研究所

経済予測

日本・米国・欧州・中国など、世界の主要国・地域の最新経済予測

【短期経済予測】23年の世界経済はインフレピークアウトも、けん引役を欠き回復足踏み(2022年9月22日)

1.世界:インフレが22年の景気圧迫、23年はインフレ鈍化も、けん引役不在で景気停滞

22年の世界経済は、資源・食糧高や米国における財価格・賃金上昇など各国で高インフレ継続、景気を下押し。インフレ圧力は新興国にも拡大、欧米に加えインドやASEAN諸国でもインフレ抑制のため利上げ加速。23年は需給緩和観測による資源価格高騰一巡などからインフレ率は徐々に鈍化。実体経済は金融引き締めにより欧米減速、外需鈍化と不動産市場低迷持続などから中国回復は緩慢。けん引役不在の中、世界経済は足踏み。世界成長率は22年3.0%、23年2.8%。

2.米国:インフレは徐々に安定。23年は低成長も消費下支えにより景気後退回避

22年の米経済は、利上げや物価高の影響を受け、内需を中心に減速。40年ぶりの高インフレは、22年末にかけて徐々に解消。FRBは大幅な利上げを続け、政策金利は22年末には4%台前半まで上昇の後、据え置きと予想。FRBの利上げにより、米経済は23年にかけて低成長を余儀なくされるが、消費が堅調に推移し景気後退を回避。実質GDP成長率は、 22年1.6%、23年1.0%

3.欧州:インフレは収まらず、23年前半にかけてユーロ圏経済でスタグフレーション発生

ユーロ圏経済は、ロシアからの天然ガス途絶に伴うエネルギー価格上昇を受けて減速。インフレ率は高止まりし、消費や投資の減少により、22年末から23年前半にかけてスタグフレーション発生。ドイツなど主要国の資源不足に伴う生産抑制は、さらなる経済下振れのリスク。英国も高インフレと急速な利上げにより景気は減速。ユーロ圏の実質GDP成長率は、22年3.0%、23年0.5%。英国の実質GDP成長率は、22年3.3%、23年0.4%。

4.中国:ゼロコロナ政策は継続、消費弱く22年の成長率は3%近傍にとどまる見込み

中国は、ダイナミック・ゼロコロナ政策を継続。上海ロックダウン解除後で生産、物流活動は正常化も、雇用不安などから、消費回復は緩慢。9月には感染再拡大が一部都市で発生、ロックダウン実施など消費回復は今後も緩慢。党大会以降、景気対策によるインフラ投資促進が経済下支えも、22年の成長率は政府目標を大きく下回る3.2%に低下。23年は22年のロックダウンの影響一巡で回復も、景気対策も弱まり、成長率は5.3%。

5.インド・ASEAN:回復持続もインフレ警戒の利上げと海外経済の弱さが回復加速を抑制

インドは経済回復続く一方で、食料・エネルギー中心にインフレ圧力増加。消費者物価はインフレ目標のレンジ上限である6%近傍を上回り、連続利上げを実施。成長率は22年度7.2%、23年度6.3%。ASEAN経済は堅調に回復も総じてインフレ率上昇、各国で利上げ開始。他方、中国減速など海外経済の影響波及のリスク。ASEAN5の成長率は22年5.2%、23年4.6%。

6.日本:消費と設備投資の持ち直し継続も、インフレ・円安の進行と輸出減が重石

行動制限の緩和によって、外食・娯楽・宿泊などコロナによる影響を大きく受けた業種を中心に、消費の回復が継続。ただし、原油原材料価格の高騰と円安の急進により、光熱費、食料品を中心に幅広い品目で価格が上昇し、景気回復ペースは緩慢。設備投資は、企業収益の改善により、製造業を中心にDX・GX関連投資意欲が増加。上海ロックダウンなどによる半導体の供給制約は解消に向かうも、輸送機械の生産回復には時間を要し、一部半導体ではなお需給ひっ迫。海外需要の鈍化に伴い、輸出は23年にかけ減速、経済成長は緩やかな回復継続。実質GDP成長率は22年度1.9%(22暦年1.5%)、23年度1.3%(同1.6%)。

世界経済の見通し(実質GDP成長率)

世界経済の見通し
注:暦年ベースのため、日本の値は下表の年度ベースと異なる。ただしインドは年度ベース
ASEAN5はインドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム
資料:IMF、予測は日立総研

日本経済の見通し

日本経済の見通し
資料:内閣府ほか、予測は日立総研

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