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株式会社日立総合計画研究所

経済予測

日本・米国・欧州・中国など、世界の主要国・地域の最新経済予測

【短期経済予測(2023.06.19)】23年後半から24年前半は要注意、金融危機・インフレのリスク両睨みが必要

1.世界:23年後半減速、本格回復24年後半。金融危機、インフレ長期化の両リスク残存

世界経済は、サービス業回復と製造業減速で、やや足踏み。インフレはなお高水準で警戒解けない状況。23年後半は利上げの累積効果や金融不安残存などから景気減速が強まる見込みだが、ソフトランディングがメインシナリオ。24年はインフレ安定化と米国の金融緩和などを背景に、年後半から回復加速。成長率は23年2.7%、24年は3.0%。金融危機深刻化や、インフレ・利上げの予想以上の長期化と景気下押しリスクに引き続き注意必要。

2.米国:利上げ効果が表れ23年後半から景気減速。インフレ長期化で利下げは24年

23年初の米経済は、度重なる利上げにより景気減速が進んだものの、減速ペースは緩やかなものに留まった。しかし、FRBによる継続的な利上げに加えて、23年3月に発生した中堅銀行破綻を機に信用不安が高まる中、23年後半には米経済は減速に向かう公算が大きい。サービス物価中心に高止まりするインフレ率は、23年末にかけて徐々に低下を予想する。FRBは、23年6月の利上げ停止後も9月にかけては0.5%の追加利上げを実施し、24年3月から利下げに転じると予想する。実質GDP成長率は、23年1.2%、24年0.7%。

3.欧州:欧州経済の回復は、インフレが落ち着く24年に持ち越し

23年初のユーロ圏経済は、プラス成長を維持したものの、低成長が続いた。産業用電力価格の高止まりを受け、ドイツなど主要国で生産が低迷した。食料品価格やサービス価格の高止まりなどコアインフレ率に低下の兆しが見えない中、ECBは23年も4%近傍まで中銀預金金利を引き上げる見込み。23年後半から24年にかけては、コアインフレ率上昇が一服し、景気も回復へ向かうと予想する。23年初の英国経済はプラス成長を維持したものの、高インフレによる購買力の低下が、23年後半の成長率を押し下げる公算大。ユーロ圏の実質GDP成長率は、23年0.6%、24年1.4%。英国の実質GDP成長率は、23年0.0%、24年0.9%。

4.中国:23年後半に消費と不動産投資が回復し、成長率は5%台前半

中国はコロナ政策転換により、成長が加速。人出の増加で、サービス業の業況が改善。一方で、若年層の失業率が上昇、雇用不安がある中で消費マインドの改善は限定的に留まり、消費の回復は緩やか。不動産投資は底入れしたが、回復ペースは緩慢で、市場停滞は当面継続の見通し。消費と不動産の回復は23年後半と想定。輸出は低調が続くが、ASEANなど新興国向けを中心に年後半持ち直しを見込む。成長率は23年5.2%、24年5.4%。

5.インド・ASEAN:総じて堅調な成長維持も、利上げの累積効果と外需減速がリスク

インドは、コロナ後の消費急回復は一服も、企業活動は底堅く推移中。インフレは徐々に安定化しつつあり、インド準備銀行は4月に利上げ休止。今後は海外減速によるサービス輸出減、利上げの累積影響、天候不順による農業生産減などに注意。成長率は23年度6.0%、24年度6.3%の見通し。ASEAN経済は、総じて回復続くも、成長ペースは徐々に鈍化中。インフレはピークアウトの兆しがみられるが、金融政策は現状各国でまちまち。今後は、利上げによる内需下押し、欧米減速による輸出下押しに注意。成長率は23年4.7%、24年5.0%。

6.日本:消費と投資が引き続き持ち直し、日銀は賃金動向を見極めた後に政策修正

人出の回復やインバウンドの増加を受け、消費は足元堅調、コロナ前水準におおむね接近。ただし消費の回復持続と拡大ペース加速には、実質賃金の持ち直しが必要。日銀は賃金上昇を伴う物価目標達成に向け、政策修正を急がず。イールドカーブ・コントロールの修正・撤廃は、24年以降の見込み。設備投資は、コロナ禍からの急回復後も、生産の復調や非製造業における利益率上昇により、底堅く推移。輸出は世界経済減速を受けて23年度減少、回復は24年度。成長率は23年度0.8%(23暦年1.0%)、24年度1.2%(同1.2%)

世界経済の見通し(実質GDP成長率)

世界経済の見通し(実質GDP成長率)
注:暦年ベースのため、日本の値は下表の年度ベースと異なる。ただしインドは年度ベース
ASEAN5はインドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム
資料:IMF、予測は日立総研

日本経済の見通し

日本経済の見通し
資料:内閣府ほか、予測は日立総研

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