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ファンド

    所属部署 経営システムグループ
    氏名:作井博

    ファンドとは

    ファンドとは、複数の投資家から資金を集め、その資金を用いて行われる事業・資産からの利益を投資家に分配する仕組みのことです(金融庁HPより)。個人の方にとっては少額資金で投資ができる投資信託が身近なものとして該当しますし、新聞紙上をにぎわせている種々のファンドは、主に機関投資家等から大口資金を集めて運用を行っています。ファンドが投資する対象としては、株式(公開、未公開)や債券といった金融資産に止まらず、原油や貴金属、商業用不動産といった実物資産、映画やゲームといったソフト資産に至るまで多岐にわたります。

    ファンドが注目される背景

    なぜファンドがこれほどまでに注目され、存在感を増しているのでしょうか。マクロ経済面から言えば、低金利に起因する世界的なカネ余り現象が背景にあります。すなわち、高利回りを求める資金がグローバル市場を駆け巡っていますが、その受け皿としてファンドが活用されています。なお、様々な規制緩和やIT技術の進歩がそれを可能にしているのは言うまでもありません。
    また、企業経営の視点からみれば、「所有と利用の分離」が浸透してきているという側面があります。経営環境の変化や技術革新スピードが増してきている中で、企業は投資すること、すなわち資産を保有してBSを拡大させることに伴うリスクに敏感になっています。そこで、投資に伴うリスク(の一部)を、ファンドに(一時的に)負担してもらう企業側のニーズは拡大しています。REIT(Real Estate Investment Trust)のような不動産投資ファンドが代表的な事例ではないでしょうか。
    最後に、金融ビジネスという側面に目を向けると、ファンドないしはそれを運営するファンドマネージャーの唯一の目的は、高いリターンを上げることと言われています。目的そのものは至極当然なのですが、それを達成するために、従来の商慣行や秩序を破壊することもいとわない投資姿勢が、時には波紋を呼んでいます。その行き過ぎが、法令違反等コンプライアンス上の問題に発展していると考えられます。

    事業会社におけるファンドとの付き合い方

    事業会社にとってみれば、事業継続に必要な経営資源のひとつである資金をファンドから提供してもらっている以上、その負託にきちんと応える義務があります。一方で、株主であるファンドが余りにも短期的な成果を求めるあまり、中長期的な経営施策に取り組み難くなるという弊害も見られます。そうした状況下、あえて株式を非公開化する事業会社も一部に見られますが、それを実現するためにもファンドの協力が不可欠です。いずれにしても、事業会社は自らの経営戦略について、ファンドを始めとした株主と対話を重ね理解を得る努力を行う、という基本原則に何ら変わりはありません。

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