所属部署 研究企画室
氏名:山崎幸典
RSS(RDF Site Summary/Rich Site Summary/Really Simple Syndication)とは、ブログやニュースなどのWEBサイトの情報を要約するフォーマットの総称です。WEBサイトが更新されると、RSSに記述される内容も自動的に更新されます。RSSリーダーというソフトウエアを利用すると、RSSに記述される内容が更新されるたびに、利用者のサーバーやパソコンにその内容が収集されます。利用者は、RSSリーダーに任意のWEBサイト、分野、キーワードなどのRSS専用のURLを登録しておくと、RSSリーダーによって収集されたブログやニュースのタイトル、要約などを読むことができます。
なぜ今、RSSに注目する必要があるのでしょうか。それは、更新される頻度が高いホームページやブログなどのWEBサイトの数が急速に増えるに伴い、ブログと並んで必須の情報収集ツールとなる可能性があるからです。知識創造社会においては、個々の知識労働者はWEB上にはんらんしている大量の情報の中から最新かつ有用な情報を効率的に取捨選択して収集する必要があります。RSSが開発される前から存在する情報収集ツールとしてはメールマガジンやWEBサイトの「お気に入り」登録がありましたが、RSSを使った情報収集は次の点で知識労働者にメリットがあります。(1)WEBサイトをチェックする時間が節約できます。チェックしたいWEBサイトの数が数ヶ所程度であれば、「お気に入り」で十分ですが、数多くのWEBサイトの情報を収集、分析し、コンセプト、アイデアの創出が求められる知識労働者にとっては「ちりも積もれば山となる」時間の節約といえます。(2)流し読みにより時間が節約できます。RSSリーダーには元々の記事のタイトルと要約が表示されていますので、ざっと読んで十分と判断した場合は、WEBサイトにアクセスする必要がありません。(3)更新情報だけを読むことが可能ですので、時間を有効活用できます。上記のほか、メールマガジンでは氏名、メールアドレスなどの個人情報を登録することが必要になりますが、RSSを使った情報収集では不要となります。また、情報が更新されているかどうかを調べるためのWEBサイトへのアクセスがなくなると、WEBサーバーへの負荷が軽減されるというシステム管理上のメリットもあります。
「gooリサーチ」では定期的にRSSの普及状況を調査しています。2006年8月実施の「RSS定期リサーチ」によると、RSSリーダーに対する認知度は34.27%。そのうち、「利用経験がある」人は前回調査(2006年6月)から1.76ポイント増加して18.56%となっており、決して高い普及状況とはいえません。一般の利用者においては、RSSで収集可能なコンテンツがブログやニュースだけではなく、写真、動画、オーディオファイルへ広がることと、ブラウザやメールソフトにRSSリーダーが標準的に装備されることによって認知率、利用率が高くなることでしょう。企業内では、イントラブログの使用と合わせてRSSリーダーを普及させ、ブログやニュースなどのWEBサイトのほかに文書ファイルの更新情報も収集対象にしていくことで知識創造企業にふさわしいワークスタイル環境が実現できると考えます。
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