所属部署 研究第一部 中国グループ
氏名:陳嘉g
「頂層設計」とは元来、「全体計画および立案」を意味する中国語で、建築、エンジニアリングプロジェクト、ゲームデザインなどの幅広い分野で使用される用語です。一方、中国政府が「頂層設計」という言葉を第十二次五カ年計画(2011〜2015)において初めて使用して以来、「従来は各地方政府および各政府部門に委ねていた政策策定を、中央政府上層部がトップダウンで統括的に策定すること」の意味を持つ政治用語ともなっています。この「頂層設計」は、習・李指導部発足後さらに頻繁に使用されています。現指導部が進める経済・政治改革においては「頂層設計」により、国内で積み上がった既存制度の欠点などを改善しつつ系統的に再整備することを狙っています。
中国は1978年の改革開放政策以来30年間で、教育、医療、税制などのさまざまな改革を実施してきました。改革開放政策により中国経済は大きく発展しましたが、2012年以降、中国経済は鈍化基調にあります。改革を継続しないと中国のさらなる発展は望めないと中央政府幹部は認識しています。土地所有、国有企業、戸籍などの制度に一歩踏み込んだ、困難を伴う改革では既得権益者による抵抗などもあり、一政府部門や一地方政府だけでは完遂できません。こうした背景から中央政府上層部による「頂層設計」こそが有効な改革手法であると、習・李指導部は認識しているものと思われます。
「頂層設計」の手法により習・李指導部が進めている政策としては、以下のものが挙げられます。
2013年11月中国共産党第13期中央委員会第3回全体会議が開催されますが、金融・税制、戸籍制度、土地所有制度といった重要課題に対する中央政府の政策発表への期待が高まっています。「頂層設計」という中央政府が主導的に政策決定を推進する手法により、中国社会が直面するさまざまな課題へ習・李現指導部は取り組んでいくものと思われます。
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