
日立グループの戦略シンクタンクとして、マクロな潮流分析と、経営の実践との両方に関わる日立総研。多岐にわたるテーマに向き合い、社内外の知見を横断しながら構想を形にしていく働き方は、ファイナンス、IT・デジタル、エネルギーなど幅広い事業領域を持つ日立総研ならではのものです。その過程で、好奇心が新たな問いを生み、議論が知へと磨かれていく。
キャリア採用で入社した3名に、そんな日立総研の魅力を語ってもらいました。
バングラデシュ出身。日本留学後、日系電機メーカーに入社し、新規事業企画として事業創出や競合分析、社外連携を推進。その後、国内外との連携を通じて、既存事業の中長期戦略立案・実行および創出した事業の拡大を担当。2025年に日立総研に転職。
2025年入社。2012年に日系物流企業へ入社し、財務および経営企画業務に従事し、資金調達、新規事業開発、中期経営計画の策定を経験。タイ・バンコクへの駐在を経て、日立総研へ転職。
2025年社内公募で異動。2018年に日立製作所入社、列車制御システムの設計や現場対応を担当。その後、駅混雑可視化アプリのSEを経て、鉄道システム全般の営業技術・事業企画に従事してきた経歴を持つ。
物流会社の財務・経営企画、メーカーでの新規事業・事業企画、そして鉄道の現場設計。皆さん多彩なバックグラウンドをお持ちですが、そもそもなぜ日立総研を選んだのでしょうか?
森尾:
前職でも経営企画に携わっていましたが、より現場に近いところで具体的な経営課題に入り込める環境に引かれたのが一番の動機です。
外資系コンサルも検討していましたが、コンサル後のキャリアの王道が事業会社の経営企画であると聞き、「だったら今、その一歩先へ進もう」と考えました。コンサル的なアプローチと、事業会社の手触り感を両立できる日立総研の環境に魅力を感じました。
ハンナン: 前職も好きだったのですが、これからのキャリアを考えたとき、一つの業界にフォーカスするより、中立的な立場で全体を俯瞰(ふかん)したい気持ちが強くなり、転職を決意しました。決め手は二つあって、面接でお会いした方々の雰囲気が良く「一緒に働きたい」と思えたこと、そして情報のクレディビリティです。日立グループ全体と深く関わっているので、信頼性の高い情報をもとに議論できる点に大きな魅力を感じました。
山本: 私は鉄道が好きで、「移動の喜びを次の時代に残すために何ができるか」をずっと考えてきました。鉄道ビジネスユニットの立場だと、特定のお客さまや製品の目線で価値最大化を考えるのが中心になります。でも日立には、もっと幅広い技術やネットワークがあるんですよね。目標のためには、制度や他産業も含めた広い視点が必要だと思い、社内公募に応募しました。決め手は、構想から実装までの距離感が近いところです。提言だけで終わらず、「どう事業化するか」のプロセスまで関われるのが、程よい距離感だなと思いました。
日立総研のお仕事は「提案して終わり」ではなく、事業部門と一緒に長く伴走し、また継続的なマクロ分析や独自の研究テーマに基づく知見もインプットされているところに特徴があると伺いました。まず、一般的なプロジェクトの流れから教えてください。
森尾:
日立総研の研究には、中長期的な視点で日立グループの企業戦略を独自に追求する「重点研究」と、日立製作所のビジネスユニットやグループ会社からの依頼に応えるコンサルティング型の「提案研究」があります。
「提案研究」では、ビジネスユニットの本部長・部長クラスから、中計の策定、新規事業の立ち上げ、マーケティング戦略など「これからどう動くべきか」に関わる相談が来ることが多いです。日立製作所の内部事情や幹部の動きも含めて前提を共有したうえで話が進められるので、お客さま側も「話が早い」と感じてくださっている。提案後も伴走が続くことが多く、「ワンショットで終わり」というケースの方が少ない印象です。
また、独自の研究活動である「重点研究」は部署横断で取り組みますが、毎年12月に研究発表会を開催して日立の経営幹部に対して成果を発信しています。昨年、私自身も研究発表会の発表者となり、日立総研が蓄積してきたマクロ分析の知見を基に日立グループの10~20年先を展望した将来シナリオや中長期的な事業戦略の策定に資する研究発表を行いました。
山本:
「提案研究」は、案件として一回区切りがついた後も縁が続くことが多いですよね。「あの時の話、どうなったんだっけ」が次の中計でまた出てきたり、ソリューションとして形になって出てきたり。プロジェクトが終わったからもうさよなら、という関係にはなりにくいと思います。
「重点研究」は部署横断で進めるため、普段の業務ではあまり関わる機会のないメンバーと一緒に取り組むことも多く、日立総研には本当にさまざまな分野のスペシャリストがいるのだと実感します。また、重点研究の一環として、世界各国のシンクタンクや先進技術の事業化に取り組む第一線の有識者とのディスカッションを重ねていく中で、新たな発想や着眼点を得て研究を深めていくところにもやりがいを感じています。
改めて「日立グループの戦略シンクタンクだからこそ提供できる価値」について伺いたいです。
ハンナン: 「どこまでの情報が欲しいのか」を腹を割って話せるのが一番大きいと思います。お互いに前提を共有したうえで、アウトプットのイメージを明確にできる。それが信頼性の担保につながっていると感じます。
山本: 確かに、同じグループだからこそできる踏み込み方もありますよね。例えば「日立製作所の幹部の○○さんにこの話を持っていったらどうですか」と、かなり具体的なレベルで提案しても、「それいいね、やろう」となることがある。外部だとなかなかそうはいかないと思います。
森尾: 過去の検討経緯や人の関係性をわかっているので立ち上がりが早いのも特徴ですね。ただ、それは弱みでもあって。知りすぎているがゆえに経緯を考慮しすぎてしまう面もあるかもしれない。
伴走することのやりがいについても教えてください。
山本: 分析結果や仮説の提言だけでなく、それを使ってどう経営層や事業責任者を納得させるか、というところまで一緒に考えられるのが面白いです。日立同士だからこそ、そこまで深く入り込めるのだと思います。
ハンナン: 日立総研で立てた仮説が、日立製作所の経営層や事業部門の意思決定の材料としてきちんと受け止められるのは、やりがいですね。事業側だけだと仮説を立てきれない局面でも、日立総研の視点で論点を整理して「次はこれをやろう」と動き出せる。そこから具体的な検討・実行までつながっていくプロセスに関われるのが大きいです。
森尾: 提案後に「じゃあ実際やってみようか」となって、結果につながっていくところまで見えるのは、日立グループの戦略シンクタンクならではのやりがいだと思います。
専門外の領域にも踏み込む場面が多いと思いますが、皆さんはどのように知識を広げているのでしょうか。
山本: そもそも好奇心旺盛な人が多いですよね。森尾さんなんて、新聞を読んで「こんなこと書いてあったよ」と周りに話しかけてますし。アンテナが高いというか、もう性分なんだと思います。
森尾:
国内外の雑誌もたくさん並べて置いてあるので、その話から雑談が始まることもあります。
この間はお菓子のパッケージに書いてある「どっち派」診断の話から、統計の議論に発展したり。そういう雑談が、どこかのプロジェクトにつながることもあります。
日立グループは事業領域が広いので、誰かは詳しい人がいる。「あのプロジェクトの誰々さんならわかるかも」とつながっていく感じです。
ハンナン: わからないことがあっても気軽に質問できる雰囲気がありますし、関連資料や過去の調査データも社内に蓄積されているので、キーワードで検索して過去案件をたどることもできます。
山本: 名刺の力もありますよね。「日立総研の調査です」と言えば、大学や他社メーカー、時には競合にも話を聞いてもらえる。社内では幹部層に直接報告し、社外にもフラットにアクセスできる。面白い立場だと思います。ここに来て1年で、名刺100枚がすぐなくなりました。デスクトップリサーチだけでなく、エキスパートへのインタビューや現地ヒアリングも大切にしながら、知見を広げている感覚ですね。
入社前後で、ご自身の考え方や視点にどんな変化があったかを伺いたいです。成長したと感じる点があれば教えてください。
ハンナン: 事業会社にいた頃は「これをやりたい」というゴールが比較的明確でしたが、日立総研では見えないところから始まることが多いんです。まず仮説を立てないと、何も進まないんですよね。自分の中に仮説を持って議論して、検証しながら実態に近づけていく。動く前に考え抜く、という姿勢は強くなりました。もう一つは、最新の産業動向やニュースをいち早くつかんで、自分の前提を常にアップデートし続ける必要があること。これは前職以上に「やらないといけない」感覚です。
山本: 私はマクロな視点が身についてきたと感じます。以前は「自社でこの技術を開発しよう」といった発想になりがちでしたが、今は「外部パートナーやベンチャーと組んだ方が価値創造につながるのではないか」とお金やスピードなども含めて天びんにかける思考が身についた。自社だけでやることが最適とは限らない、という前提に立てるようになったのは大きいですね。また、当事者意識が強すぎるがゆえに見えなかった"利害の違い"を、部署ごとの立場を冷静に俯瞰(ふかん)して考えられるようになってきたかなと思います。
森尾:
最後の最後まで考え抜く姿勢は少し身についた気がします。昨年末の研究発表会では、日立製作所の東原会長や德永社長の前でプレゼンをする機会をいただいたのですが、正直かなり追い込まれました。上司との事前面談では「それはすでにご存じだろう」と言われることも多く、2カ月ほどずっと考え続けていました。日立グループ経営陣の情報ネットワークや視座は、われわれとは比べものにならない。その中で新たな視点をどう見つけるかは、本当に難しかったです。戦略コンサルに在籍経験のある上司からは、「あのレベルの経営陣の前で話せるのは、コンサルでもパートナークラスだけだ」と言われました。初年度でその経験ができたのは大きな財産です。
提案先である経営層のレベルが高いからこそ、みんなが知っていることを言うだけでは価値を出しづらくて、もう一段深い考察や新規性が求められる。そこがこの仕事の難しさの一つだと思っています。
日立総研だからこそ実現できる働き方や環境について、皆さんはどう感じていますか。
森尾: 日立グループ内とはいえ、経営課題の幅は十分に広い。朝はエビの養殖の話をして、その後に港湾のガントリークレーン、次にスマートシティの議論、みたいなことが普通にあります。ここは何よりの面白さですね。
山本: 知的好奇心が豊かな人が多いというのは本当にそうで、突拍子もないニュースの話からでも、ちゃんと議論が広がります。データベースも豊富で、特定業界専門のデータベースも見られる。リサーチしやすい環境が整っていると感じます。
ハンナン: 働き方も柔軟ですよね。リモートワークが歓迎されていますし、フルフレックスで、時間を細かく管理される感覚はあまりありません。お互いが自分の役割と責任を理解している、という信頼が前提にある感じです。
森尾: 午後3時に出社してもいいし、帰ってもいい。水とお茶、コーヒーは飲み放題ですし、フリーアドレスで29階なので眺めもいいです。経営層に近いところで働きながら、働き方の自由度が非常に高い。このバランスは日立総研ならではかもしれません。
これからどんなキャリアを築いていきたいですか。また、これから仲間になる方へのメッセージもあればお願いします。
ハンナン: 将来的には国内外で活躍したいですし、グローバル案件にも積極的に関わっていきたいと思っています。転職を考えている方には、「誰と働くか」を大事にしてほしいですね。日立総研は、すごくオープンで、受け入れてくれる雰囲気があります。一緒に働きたいと思える人たちとなら、自然と力も発揮できると思います。
山本: 私は社内外のネットワークをさらに広げて、人と人をつなぐ役割を担っていきたいです。ゆくゆくは新規事業の構想から実装までをリードできるようになれたら理想ですね。入社を考えている方へのメッセージとしては、「日立総研のドアをくぐる者は、一切のプライドを捨てよ。」好奇心を持って何でも楽しめる人の方がフィットすると思います。
森尾: 将来的には海外オフィスへの出向や、ビジネスユニット側の企画も経験してみたいと考えています。経営企画かコンサルかで迷っている方にとっては、その両方の要素を持つ独自のポジションだと思います。もっと事業に踏み込みたいと思えば、グループ内で道を広げることもできる。その柔軟さを面白いと感じられる方には、ぜひ挑戦してほしいですね。
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