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Vol.19-1(2024年5月)

生成AIによる未来曼荼羅

Foreword

巻頭言

言葉を継ぐもの

取締役社長
溝口 健一郎

18世紀後半に始まったイギリスの産業革命は以降の世界を大きく変えた。農民の数が減少して工場の労働者が増加し、都市への人口流入が加速し都市の規模は急拡大した。科学技術の発達と経済構造の変化によって、製鉄、機械、造船、軍事などの産業が発達した。生産性が飛躍的に改善し、多様な商品が大量生産され広く消費者に届くことになる。モノを広く早く届けるために輸送手段が発達し、自動車、鉄道、海運など物流網の構築が進ん・・・

溝口健一郎氏

HRI Report

特集レポート

生成AIによる未来曼荼羅

研究第三部 部長 鹿野 健一
研究第三部 技術戦略グループ 主任研究員 渡部 正泰

生成AIの技術が登場して以来、多くの注目はその効率化の能力に集まっているが、将来的にはこの技術が新たなサービスやビジネス機会を創出し、社会の構造を変える可能性を秘めている。実際のところ今日すでに、生成AIの技術とそれがもたらす社会の変化に対し敏感なスタートアップが、生成AIのモデルやツール、アプリケーションを開発して社会実装に乗り出すなど、社会変革の兆しが現れ始めている。生成AIの急速な発展は、・・・

鹿野健一氏と渡部正泰氏

Contributions

寄稿

生成AIはどこまで進化するのか

京都橘大学 教授
松原 仁

AIは2010年代からディープ・ラーニング(深層学習)という機械学習の技術の進歩にとって3回目のブームを迎えていた。人の顔を(人よりも精度よく)見分けるとか、自動車の前方に障害物があれば運転手がブレーキをかけなくても代わりにかけてくれるとかなどの、画像認識の機能が大幅に向上した。またスマートフォンの音声対話やAIスピーカーなど人の話を聞き取ってくれる音声認識の機能も大幅に向上した。3回目のブームは・・・

松原仁氏

生成AIと社会変革:生成AIとの協働に基づく欲望の革命

株式会社電通コンサルティング パートナー 長山 剛
株式会社電通コンサルティング プリンシパル 加形 拓也

株式会社電通コンサルティングは、2030年までの技術・社会トレンドをまとめることによって、未来起点の経営戦略の策定に資する中期未来予測ツール「電通未来曼荼羅」を提供している。株式会社日立総合計画研究所(日立総研)は、これらを参考に生成AIがもたらす2030年以降の社会変化の将来シナリオ「生成AIによる未来曼荼羅」を作成した。本稿では、日立総研が作成した「生成AIによる未来曼荼羅」を株式会社電通コン・・・

長山剛氏と加形拓也氏

AI Governance in a Rapidly Evolving Landscape

Cathy Li
Head, AI, Data and Metaverse; Deputy Head, C4IR
World Economic Forum

The rapid advancement of artificial intelligence (AI) has propelled it into the heart of decision-making processes, operations, and strategies of large organizations and businesses. This evolution has also raised the crucial question of how to implement effective AI governance principles. In this dynamic landscape, the intersection of technical s・・・

Cathy Li氏

生成AI時代における哲学・倫理

株式会社日立製作所 名誉フェロー
小泉 英明

現代は気候変動による自然環境の変化や人口の高齢化に伴う社会経済システムへの圧力といった前例のない社会問題に直面している。人類はこれらの課題を解決し、同時に持続可能な成長の道を探求しなければならない状況にある。このような状況下で誕生した生成AIを含む新しい技術は、Society 5.0といった未来社会のビジョンを具現化し、これらの課題への革新的な解決策を提供する可能性を秘めている。この重要な時期に、科・・・

小泉英明氏

Voice from the business frontier

ビジネスの最前線から

AIスタートアップの最前線

Dinesh Wadhawan
Head of Corporate Venturing Office North America
Hitachi America, Ltd.

私の所属するCVOは、イノベーション成長戦略本部の一部門で、北米、日本、欧州に拠点を構えています。私は20年以上シリコンバレーに住んでおり、さまざまなスタートアップやベンチャーキャピタルとのネットワークを築いた経験を生かし、CVO における北米の責任者を務めています。CVOの役割は、一つ目に日立ベンチャー社のファンドが出資しているスタートアップを日立の各ビジネススユニット(BU)に紹介し、BU・・・

Dinesh Wadhawan氏

Research Project

研究紹介

2030年に向けたエネルギートランジションのグローバルシナリオ

グローバル情報調査室 シニアストラテジースタッフ
坂本 尚史

世界のエネルギー問題に関して、気候変動問題への対応を最優先にすべきとする潮流は、2021年11月に英国グラスゴーで開催されたCOP26がピークであったと言える。COP26では、先進国だけでなく、途上国も相次いでネットゼロ(カーボンニュートラル)へのコミットを宣言した。その後、年をまたいで2022年2月に起こったウクライナ危機は事態を一変させた。ロシア産天然ガスからの脱却と世界市場での天然ガスの争奪戦は、アジア・・・

坂本尚史氏

Book Review

先端文献ウォッチ

ニックヒル・グプタ著「The Eight Percent Solution:A Strategy for India's Growth」

グローバル情報調査室 主管研究員
吉田 健一郎

インドは、これからも高成長を維持できるのか―。2023年8月に発刊された本書は、Motilal Oswal Financial Servicesのチーフエコノミストであるニックヒル・グプタ氏が、この問いに対し真正面に取り組んだ良書である。英フィナンシャル・タイムズ紙が選ぶ2023年のベスト経済書のうちの1冊にも選ばれた。本書のタイトルとなっている「The Eight Percent」とは、インドが高所得国に転じ、持続的な発展を遂げていくのに・・

吉田健一郎氏

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