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株式会社日立総合計画研究所

経済予測

日本・米国・欧州・中国など、世界の主要国・地域の最新経済予測

【短期経済予測(2024年9月25日)】世界経済は足踏み状況、次なる回復の波は25年後半

1.世界:世界経済は足元で足踏み状況。25年前半は停滞感残存、後半回復へ

24年夏場以降、米経済の先行き懸念台頭を主因に、グローバル金融市場が不安定化した。中国経済の停滞も続く中、世界経済は全体として足踏み状態にある。今後25年前半にかけては、米国の減速、中国の停滞により、世界全体としても牽引(けんいん)役不在で勢いを欠く展開を予想する。その後は利下げによる米国経済回復などを梃子(てこ)に、25年後半に世界経済は回復に向かう見込み。世界成長率は24年、25年とも3.1%。予想に反する急速な米景気悪化や大統領選を巡る市場混乱、米新政権の政策には注意が必要。

2.米国:FRBは利下げを継続、米景気は25年前半にかけて減速も、その後は回復へ

米経済は、底堅い成長が続いている。しかし、雇用者数の伸びの鈍化や、累積的な利上げに伴う製造業の業況悪化などから、24年後半から25年前半の米景気は減速が予想される。FRBは9月FOMCで0.5%の利下げを決めたが、24年10月以降は、経済指標をみながら緩やかに利下げを続けると予想。FRBの利下げにより、25年後半から米景気は回復に向かう見込み。大統領選挙後の拡張財政による需要刺激が、インフレ再燃と金利再上昇に結び付けば、25年の経済リスクになる可能性。実質GDP成長率は、24年2.6%、25年1.5%。

3.欧州:ユーロ圏経済は緩やかな回復、ECBの利下げにより25年は1%台の成長へ

ユーロ圏経済は、緩やかな回復が続き、4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率+0.8%となった。国別には、スペインが高成長となる一方、ドイツはマイナス成長になった。インフレ率の低下を背景に、ECBは9月に追加利下げを実施。利下げとインフレ鈍化により、25年のユーロ圏経済は1%台前半の成長率に達する見込み。英国は25年も1%台の成長を予想するが、労働党政権の緊縮財政の影響には注意。ユーロ圏の実質GDP成長率は、24年0.8%、25年1.3%。英国の実質GDP成長率は、24年1.1%、25年1.3%。

4.中国:追加関税による輸出減速と構造問題で、25年の成長率は4%台半ばに減速

中国では、内需が弱含んでいる。鉄鋼や自動車等の値下げにより輸出増が続くが、過剰生産問題を憂慮する欧米の追加関税により、伸びは25年にかけて緩慢となる。財政出動によりインフラ投資と製造業投資が成長を牽引する一方、不動産投資は政府の在庫解消策が不十分で減少が続く。不動産価格低下と雇用停滞を受けて消費マインドは低迷、消費の伸びは限定的。土地譲渡益収入減少を受けた地方債務の積み上がりや物価低迷、労働力減少など、構造問題が25年の成長を下押しする。実質GDP成長率は、24年4.7%、25年4.4%。

5.日本:日本経済は、消費と設備投資の牽引で25年も緩やかな回復継続の見通し

日本経済は、物価高緩和による消費者マインド改善と好調な春闘の妥結結果を背景にした実質賃金回復に伴う消費の回復などにより、25年も緩やかな回復を見込む。設備投資については、輸出の回復や大企業の高水準の経常利益、中小企業の利益改善傾向を背景に、増加を予想。輸出は、グローバルな半導体需要、欧米の利下げに伴う需要回復もあり、25年後半からの回復を予想する。以降の日銀は24年、25年各0.25%の利上げを実施する見込み。実質GDP成長率は、24年▲0.2%(年度0.5%)、25年1.4%(年度1.2%)。

6.インド・ASEAN:インドは高成長持続、ASEAN5も25年に向けて安定成長が続く見通し

インドは、インフレが安定する中、消費、投資を中心に経済は堅調が続いている。企業や消費者のマインドも良好。今後もインフラ投資や消費など堅調な内需を背景に高成長が続く見込み。インフレ鈍化で金融政策は25年早期に利下げに踏み切る可能性がある。成長率は24年度7.0%、25年度6.6%。ASEAN5は、国ごとのばらつきはあるが総じて輸出や観光需要は回復しインフレは落ち着いている。ASEAN5の成長率は24年4.9%、25年5.0%。

世界経済の見通し(実質GDP成長率)

世界経済の見通し(実質GDP成長率)
注:暦年ベースのため、日本の値は下表の年度ベースと異なる。ただしインドは年度ベース
ASEAN5はインドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム
資料:IMF、予測は日立総研

日本経済の見通し

日本経済の見通し
注:端数処理により、数値の合計が一致しない場合がある
資料:内閣府ほか、予測は日立総研

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