日本・米国・欧州・中国など、世界の主要国・地域の最新経済予測
サブプライム危機は「100年に一度」の世界金融危機に発展。日米は2007年末から、欧州も2008年春から景気後退に入っていた模様だが、9月のリーマン・ショック以降急降下。新興国などにも飛び火し、世界同時株安、急激な信用収縮、為替変動を招き、世界同時不況に入っている。
こうした混乱に対し、11月の金融サミットで各国は協調を確認。欧米中央銀行は、政策金利を引き下げ、短期金融市場へ無制限の資金供給を開始し、実質的に量的緩和に踏み出しつつある。また、欧米財務当局は、公的資金を銀行などへ資本注入。さらに金融面以外でも、世界中で景気対策が実施または計画中で、景気後退と信用収縮によるデフレ圧力に抵抗する努力がなされている。
しかし、信用収縮の動きは米国住宅価格が下げ止まる2010年まで残る見込み。また、これまでに発表された景気対策では、特に欧州、日本において、規模、効果ともに不十分であり、デフレ圧力に抗し切れるか疑問で、景気のV字回復は期待できない。
世界経済はデフレ不況に入りつつある。2008年3.3%、2009年1.1%と、2009年は好不況の境目となる3%を大きく下回ると予測。
米国の過剰消費が世界の有効需要をリードする形での成長パターンは崩れた。普通の循環的な景気後退ではなく、調整には少なくとも2010年まではかかるとみる。次の世界の有効需要は、新しい社会の構築、つまり新興国の成長による世界の多極化、環境対応機器・システムの普及による低炭素社会の実現などから生み出されていくことになろう。
日本経済も、2007年10〜12月期を景気の山として景気後退局面に入っていた模様だが、9月のリーマン・ショック後の2008年度下期から急降下中で2009年4〜6月期まで5四半期連続のマイナス成長が見込まれる。2009年度は、円高、輸出減から外需の成長への寄与はマイナスに反転(▲0.9%)。企業収益が圧迫され、設備投資も減少が続く。所得の低迷から個人消費、住宅投資も弱い。一方、原油価格の下落(91→50ドル/バレル)は、3兆円の所得流入となり成長率を0.6%押し上げる。政府による景気対策も、12月12日に発表された「生活防衛のための緊急対策」の財政上の対応規模は10兆円で、一次有効需要創出で2兆円、乗数効果を含めると2009年度の成長率を0.5%押し上げる効果が期待できる。景気後退、輸出減少、信用収縮の下押し圧力を撥ね返すだけの力はないが、2009年度から日本経済の下支え役にはなろう。
日本の実質GDP成長率は2008年度▲1.0%、2009年度▲1.1%と2年連続のマイナス成長と予測。