日本・米国・欧州・中国など、世界の主要国・地域の最新経済予測
2014年の世界の実質GDP成長率は、前回予測と同様3.6%で2013年3.1%を上回る。先進国経済は2.0%成長と、日米が堅調に景気回復。新興国経済は5.0%と、前回予測から0.1%下方修正。政治状況が不透明で通貨安が進んだインド、ブラジル、南ア、トルコ、インドネシア、タイなどを下方修正。中国7.3%は前回予測を据え置いた。
米国は2014年3.1%成長と景気回復が加速する見通し。2014年1〜2月に懸念された連邦政府閉鎖や米国債デフォルトを回避。2013年10〜12月期は前期比年率3.2%成長と経済も堅調。寒波の影響で2014年1〜3月期はやや減速する見通しだが、4〜6月期以降成長加速が見込まれる。堅調な景気回復を受けて、FRBは2013年12月、2014年1月の会合でQE3(量的緩和第3弾)縮小(資産購入の減額)を決定。ただ、2014年2月に就任したイエレン新議長はゼロ金利を継続する意向で金融緩和は続く。財政では歳出自動削減額が前年より縮小。金融財政政策は2014年景気を後押し。
ユーロ圏は2014年0.3%と全体では3年振りにマイナス成長を脱するが、南欧諸国では景気低迷が長期化する見通し。2013年10〜12月期は3四半期連続のプラス成長(前期比年率1.1%)と、ドイツがけん引し全体では景気は底入れした模様。しかし、各国別にはスペインやイタリアはようやく下げ止まった状況で景気回復はまだ見えない。物価がインフレ目標2%弱に対し1%を下回って推移するなどデフレ懸念が浮上する中でも、ECBは2014年2月6日理事会で追加措置は見送るなど金融緩和のタイミングが遅れ気味で、南欧諸国の低迷は長期化する見通し。
中国は2013年7.7%から2014年7.3%へ減速。電力消費量や鉄道貨物輸送量の伸び率、製造業PMIなどの生産関連指標は2013年末にかけて低下しており、景気減速を示唆。不動産バブルやシャドー・バンキングを押さえ込むために金融は引締め気味で、住宅価格は2013年末に頭打ちの兆し。ただ、バブル崩壊回避への配慮から、短期金利急騰時には資金供給したり、デフォルトのおそれのある理財商品を救済したり、その場しのぎ的な対応も行っている。景気の急減速を防ぎつつ、改革を進める綱渡りが続く。
FRBバーナンキ議長(当時)がQE3縮小を示唆した2013年5月22日以降急落したインド・ルピーやブラジル・レアルなど新興国の通貨は、各国中央銀行の金利引き上げなどの通貨防衛策により9月以降落ち着いていたが、2014年1月22日アルゼンチン・ペソが急落したことをきっかけに再び下落。2月中旬時点では下落した水準で再び落ち着いているが、市場心理はリスク回避へ傾いており、中国経済の急減速などのショックが生じればさらに不安定化する可能性は排除できない。
日本経済は、2013年10〜12月期 1.0%と4四半期連続のプラス成長。消費者物価が2013年12月7カ月連続で前年を上回るなどデフレを脱却しつつある。結果、実質金利は2014年2月13日時点で▲1.7%と大きくマイナスに。2014年4月1日からの消費税率引き上げ(5→8%)を前にした駆け込み需要もあり、個人消費、住宅投資、設備投資が増加。内需の増加にあわせて輸入が増加する一方、新興国の景気減速の影響もあり輸出は伸び悩み、外需は2四半期連続でマイナスに寄与。
経済政策パッケージを実行する5.5兆円規模の2013年度補正予算が2014年2月14日成立。その下支えもあり、2014年度成長率は0.6%と景気回復が続くと予測。
注:暦年ベースのため、日本の値は下表の年度ベースと異なる資料:IMF、
予測は日立総研
資料:国民経済計算ほか、予測は日立総研