日本・米国・欧州・中国など、世界の主要国・地域の最新経済予測
2014年の米国は3.1%と前回予測より1.2%下方修正も、2014年春以降成長加速を見込む。与野党の対立により2013年10月1日から連邦政府が2週間にわたり閉鎖されるなど政治混乱が生じたが、2014年11月の中間選挙に向けて共和党も過激な行動を控えるとみられ、1〜2月に連邦政府閉鎖や米国債デフォルトを招く可能性は低い。ただ、歳出自動削減は続く見通しで、前回(9月)予測からは実質GDP成長率を下方修正。FRBは9月18日の会合でのQE3(量的緩和第3弾)縮小(資産購入の減額)は見送った。2014年2月にはイエレン新議長が就任予定だが、QE3を縮小したとしても金融緩和を長期間続ける姿勢を示している。政策金利引き上げは2015年まで見込まれない。
ユーロ圏は2014年0.2%と3年振りにマイナス成長を脱するが、金融緩和のタイミングが遅れ、過去の日本と同様、景気低迷が長期化する見通し。2013年7〜9月期実質GDPが2四半期連続でプラス成長(前期比年率0.4%)となったが、4〜6月期(同1.1%)より伸びは鈍化。インフレ率が目標2%弱に対し、1%を下回って推移するなどデフレ懸念が浮上。ECBは11月7日政策金利を引き下げた(0.5→0.25%)が、ドイツ、オランダ、オーストリアの中央銀行総裁は反対票を投じており、ドラギ総裁の舵取りは容易ではない。
中国は7%台前半で推移する可能性が高い。11月9〜12日の三中全会(第18期中央委員会第三回全体会議)で習・李新体制が改革・開放の青写真を示した。国有企業改革、近代的な市場体系の完備、政府機能の転換など市場経済を一層指向する内容となっており、改革への期待が高まっている。不動産バブルの崩壊や過去の過大投資から来るストック調整のリスクは残るが、景気は底堅さを示している。
インド・ルピーやブラジル・レアルなど新興国の通貨安が6月以降急速に進行していたが、FRBのQE3縮小見送りや各国中央銀行の金利引き上げなどの通貨防衛策により9月以降多くの通貨で落ち着いてきた。ただ、これらの国では、金利引き上げで、減速していた景気がさらに冷え込んでいる。
2014年の世界の実質GDP成長率は、世界全体が3.6%と前回予測から0.3%下方修正も、2013年の3.1%を上回る。新興国経済は5.1%と、前回予測より0.1%下方修正。インド5.2%は0.4%下方修正、ブラジル2.8%、中国7.3%はともに据え置いた。
日本経済は、2013年7〜9月期実質GDP成長率1.9%と4四半期連続のプラス成長となった。安倍首相は10月1日に消費税率引き上げ(2014年4月5→8%)を閣議決定。同時に、景気腰折れ回避のため、経済政策パッケージを閣議決定。具体策や金額の詳細は12月の2013年度補正予算、2014年度税制改正で決まる予定。本予測では、経済政策パッケージで2014年度に2.5兆円の有効需要が追加されると前提して、2014年度成長率は0.7%と景気回復が続くと予測。
この成長ペースだと、2015年度中にデフレ・ギャップ解消が見込まれ、「2年程度でインフレ目標2%」達成の可能性が見えてくる。2016年度以降、供給力が経済成長の制約要因となり、成長戦略の真価が問われることになろう。
注:暦年ベースのため、日本の値は下表の年度ベースと異なる資料:IMF、
予測は日立総研
資料:国民経済計算ほか、予測は日立総研